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原子番号113 日本に命名権

2016-01-14 10:45:15 | 化学
理研のチームが合成した新元素が、昨年末113番の元素として認められ、日本で初めて命名権を得たようです。

この新しい元素の話の前に、少し元素の話を書いてみます。元素というと1番の水素、2番のヘリウムと続くわけですが、たぶん高校のころ化学の授業で何番までだったか忘れましたが、この順番を暗記させられました。私のように長いこと化学に関連した仕事をしていても、この元素を暗記したということは全く役に立ちませんでしたので、この勉強は全く無意味だったような気もします。

もともと元素というのは、その順番が大事ではなく、ある周期を持って同じような性質の元素が並ぶというところにあります。これが周期律表です。やや教科書的になりますが、この周期律という概念を出したのが、メンデレーエフという我々の世界では有名な学者です。これが確か1870年ごろだと思いますので、日本では江戸から明治に移るという頃に、世界の化学はそこまで進歩していたというのは驚きです。

私が化学の世界に入ったころは、メンデレーエフから100年もたっていますので当然ですが、今の周期律表とほぼ同じものができていました。ただ原子番号の大きなものはかなり空欄になっていたと思います。その後次々に新しい元素が発見され、天然に存在するものはほとんどが見つかったようで、現在は理論的に存在するはずという元素を、人工的に作り出すという時代になったようです。たぶん93番のネプツニウムというのが天然に存在する最も大きな元素のようです。

今回の113番の元素も日本以外にもアメリカ・ロシアなどの研究者が、合成したという報告を出しているようですが、日本の研究が最も信頼性が高いということで、日本の発見ということになったようです。これは亜鉛原子にビスマス原子をぶつけることで核融合を起こし、113番の元素ができたようですが、存在時間がなんと0.002秒しかなく、アルファ線を出して崩壊するものです。これほど短時間しか寿命がないものを、本当に発見したかの証明が難しかったようです。

こういった元素を作り出す、つまり核融合を起こすためには、高性能の加速器など非常に高価で大型の装置と、多大な時間をかけた実験が必要ですが、これが何の意味を持つのかはよくわかりません。このあたりの化学になると、発見すること自体が目標となるようです。

この113番の元素の名前はジャポニウムなどが有力のようですが、周期律表に日本関連の名前が刻まれることに意味があるのかもしれません。

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