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マダニ感染症に特効薬が見つかる

2021-08-21 10:25:53 | 
マダニに刺されることによって、体内のウイルスに感染しかなり高い致死率(25〜30%)という感染症があることは聞いていました。

マダニの生息域がどのあたりかよくわかりませんが、イヌやネコが感染し、それが人にもうつるということで若干気にしていました。

ただし国内の感染者は年間100人程度ということで、それほど気にすることもないようですが、この感染症の特効薬が見つかったという記事がありました。

このマダニ感染症は正式には「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」と呼ばれ、2011年中国で発見され、2013年に初めて国内で確認されました。

当初は九州や中国地方など西日本で徐々に広がっていましたが、今年3月に静岡で、さらに7月には千葉で感染者が見つかり、ついに関東上陸となっています。マダニは全国の山野や庭の草むらに生息する身近な虫です。

発症例が西日本に多かった理由は、ウイルスを持っているマダニが西日本により多く分布しているためと考えられ、既に感染者が出ている地域では、ウイルスを持つマダニが繁殖していると考えないといけないようです。

感染すると6〜14日の潜伏期間のあと、突然高熱が出て強い倦怠感や頭痛、筋肉痛、神経症状などが急速に進行し、重症化する多臓器不全に陥り、最悪の場合は命を落とします。

これまで有効な治療薬やワクチンもなく、対症療法で回復を目指すしかなかったのですが、ようやく治療薬が見つかりました。愛知県立医療技術大学の研究チームの臨床試験で、コロナ治療で注目された「アビガン」に有効性が認められました。

SFTSウイルスもコロナウイルスもRNAウイルスという同じタイプなので、RNA阻害剤であるアビガンの効果が期待できるようです。この臨床試験では、10ポイント程度の致死率の低下(23例で致死率が17.4%)が見られました。

1年前にはコロナ治療の切り札と期待されたアビガンですが、その後の治験では明確な有効性を示すことができず、未だに評価は定まっていません。一方でマダニ感染症に対しては、対象患者の数は少ないものの成果を上げているといえそうです。

それでも致死率はまだ高いのですが、今まで対症療法で致死率を下げることができなかった病気の初めての治療薬と言えそうです。

アビガンもコロナの時と同じように、既存薬の転用ということになりますが、やはり抗ウイルス薬というのはそう簡単に見つかるものではないような気もしています。

それでもアビガンがマダニ感染症に有効であれば、安全性は確認されていますので、投与方法や投与量などを工夫することによって、より有効な治療方法が見つかるのではないかと期待しています。


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