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アルツハイマー型認知症は腸内細菌通じて伝染する

2023-11-27 10:30:03 | 健康・医療
私にとって認知症は身近な病気であり、亡くなった私や女房の両親も発症してしまいました。最近では古くからの友人も数年前から認知症となっています。

このアルツハイマー型認知症について、アイルランドのUCCの研究チームが患者の糞便を健康なラットに移植すると伝染するという研究結果を発表しました。

日本における65歳以上の高齢者の割合は推計で3623万人で、総人口に占める割合は29.1%で過去最高となりました。2022年の国民生活基礎調査によると、介護保険制度で要介護者と認定された原因は「認知症」が16.6%と最も多くなっています。

アルツハイマー型認知症は、認知症の60〜70%を占める病気です。脳の神経細胞が早く減ってしまうことで脳が委縮し、徐々にもの忘れや時間や場所が分からなくなるなどし、患者の約半数が発症から2〜8年で寝たきりとなります。

アイルランドのUCCの研究チームは、アルツハイマー病の患者から採取した糞便を健康なラットに移植すると、ラットに認知症の兆候が現れたり、海馬の神経細胞が成長しなくなることを確認しました。

つまり「アルツハイマー病が糞便を介して他の個体に伝染する」可能性を示しました。研究チームは、以前からアルツハイマー病の患者は健康な人に比べて有害な腸内細菌を多く持つという報告に注目し、腸内細菌叢を介したアルツハイマー病の伝染は起こるのかを確かめるために実験しました。

アルツハイマー病の患者69人とそうでない人64人から移植用の糞便と血液を採取しました。次に7日間抗菌薬を与えてもともとの細菌叢を死滅させた11週齢のオスのラット16匹ずつに対してこの糞便を溶かした液体を3日間経口投与して、ヒトの腸内細菌の移植を行いました。

その結果移植から10日以降に健康診断や記憶テストを行ったところ、患者の腸内細菌を移植したラットには、長期空間記憶の障害や新規認識記憶の著しい低下など認知症と思われる症状が認められました。さらに重症患者の腸の細菌を移植されたラット程、記憶障害が重度でした。

また神経細胞を特異的に染色するマーカーを使ったり、脳の切片を顕微鏡で観察したりすることで、患者の腸内細菌を移植したラットの脳では、海馬での新しい神経細胞の産出や成長が減っていることが観察されました。

この結果をもって糞便移植でアルツハイマー病の症状が「伝染する」という表現はおかしい気がします。この実験はアルツハイマー病が腸内細菌叢によって引き起こされる可能性を示したものと言えます。

腸内細菌叢は、簡単な感染などによって変わるものではありませんので、「伝染する」ことはないような気がします。またこの実験ではアルツハイマー病に似た症状が出たのであって、アルツハイマー病になったと断定できないような気がします。

それでも腸内細菌叢が脳に影響を与えるという事は、新しい知見と言えるのかもしれません。


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