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アルツハイマー病治療薬米国で承認

2021-06-18 10:26:52 | 
高齢化が進んでいる日本でも増加している認知症ですが、その中でも多くを占めるアルツハイマー病の治療薬がアメリカのFDA(食品医薬局)から承認されたというニュースが注目を集めています。

この治療薬はアメリカのバイオジェンと日本のエーザイが開発したものですが、日本ではこのニュースが流れると、エーザイの株が買い注文が多く取引が成立しないといった現象も起きているようです。

今回承認された「アヂュカヌマブ」はそれだけ期待されていた薬と言えるのかもしれません。それでも国内では本当に夢の薬かどうか審査しなければいけないという意見も多いようですが、多分年内には承認されるのかもしれません。

これまで多くのアルツハイマー治療薬が臨床試験を中断しており、その数は100近いといわれています。臨床試験で効果が明確でない理由はいくつか挙げられていますが、そのひとつがアルツハイマー病発症のメカニズムとされています。

この病気は脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積し、そのために脳細胞が死滅し発症するとされています。多くの製薬会社はこのアミロイドβをターゲットとし、これを減少させるような薬剤を次々開発しました。

しかしアルツハイマー病は発症する20年も前からアミロイドの蓄積が始まり、徐々に脳細胞が痛んでくるという経過を示します。

従ってすでに発症している患者に薬剤を投与して、アミロイドを除去する効果が出たとしても、すでに死滅減少している脳細胞を復活させることはできないわけです。このためアルツハイマー病の進行を止める可能性はあっても、治療効果は出てこないことになります。

またこの病気の診断は血糖値のように数値化できるわけではなく、診断する医師の判断に任されるといった問題や、アルツハイマー病自体が良くなったり悪くなったりを繰り返す波があるなど正確な指標を出せないという問題もあるようです。

こういったことから治療薬の臨床試験は、効果の判定ができないまたは治療効果が明確でないといった理由から中断されてしまったようです。

実際に今回のアヂュカヌマブも一旦臨床試験は中断してしまったのですが、その後詳しい解析などにより有効性を示すデータが出てきて、承認という流れになったとされています。

私はあまりにも多くの治療薬が、臨床試験に失敗したため、FDAの温情で今回は承認されたのではないかと思っています。

アヂュカヌマブは抗体医薬ということで、価格の問題も出てきそうです。一般に抗体医薬は高価になることが多く、日本でも500万人と推定される多くの患者に投与できるような価格設定ができるのかも疑わしい気もします。

日本でも早期承認を目指すようですが、有効性などの詳しい検証をじっくり行い、拙速にならないよう注意すべきと考えています。


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