洗脳されてるんだろう。
どうも、あのクソッタレな国を嫌いになれない。
あれほど身勝手な国はないんだけどな。
円仁 唐代中国への旅 (講談社学術文庫) エドウィン・O・ライシャワー 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:1999-06-10 |
なかでも、とくにリスペクト(感謝)している米国人が二人いる。
エドウィン・ライシャワーと、
昨年、震災を機に日本国籍を取得したドナルド・キーンさんだ。
キーンさんだけ「さん」付けしたのは、
ライシャワーはすでに鬼籍に入られていて、
もはや歴史上の人物になっているからだ。
当然ながら、この二人は第二次世界大戦のとき、
敵国の軍隊に所属していた。
ライシャワーは陸軍通信隊に、
キーンさんは情報士官として海軍に勤務していた。
おそらく、その卓越した語学力を駆使して、
わが邦の暗号を数多く解読したにちがいない。
それほど、お二人は日本語に精通している。
僕は、ライシャワーから円仁(入唐求法巡礼行記)を、
キーンさんからは「源氏物語」を、
いわば逆輸入で教えてもらった。
この偉大な旅行記と小説も、この二人がいなければ(発見していなければ)、
現在のような世界的普遍性を勝ち得なかったと思う。
二人は、単なる訳者じゃない。
たとえば「入唐求法巡礼行記」を例に挙げると、
この紀行文を原文で読みこなすことは相当ハードルが高いものであり、
同書を読むには、仏教の知識はもちろん、
精緻でややこしい注記を読む忍耐が必要である。
それをライシャワーの卓越した学識でフォローし、
そしてアメリカ人特有の平明な視点で書かれていて取っつきやすい。
キーンさんは、その生涯の最後を、
日本で日本人として終えることを選んでくれた。
キーンさんが終の棲家として選んでくれた日本に住む僕らは、
その温情に応えるためにも、この国をよりいい国にしなくては。
一連の政治報道や原発対応などをみて、
最近そんなことをボンヤリと考えている。