内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

実に奇妙な「夢物語」 ― 夢の記録から自己の精神状態を観察する

2020-04-09 23:59:59 | 雑感

 自宅軟禁状態が数週間も続くと、本人はしっかりしているつもりでも、傍から見るとちょっとおかしくなりかけているということはあるかも知れない。このブログは、人類が今回初めて経験する特異な状況における一人間の「貴重な」自己観察記録でもある。
 外出禁止令が発効してから今日で二十四日目になる。明日から在住している県では措置が強化される。
 午前中に在ストラスブール日本国総領事館から届いたメールによると、「バ=ラン県は4月10日(金)〜4月15日(水)の期間(延長する場合あり),必要不可欠な買い物をするための外出,短時間の散歩や運動またはペットのために必要な外出をする場合は大人1名に限るとしています。(ただし,16歳以下の子や脆弱な人を同伴することは除く。)」ということである。
 県の公式サイトにはもっと詳しい説明が載っている。買い物に行ける店の範囲を自宅(あるいは軟禁されている場所)から10キロ以内としている。これは私のようにいつも近所で買い物をしている人間には何の影響もないが、郊外のショッピングモールや量販店を普段利用している人は少し困るかも知れない。しかし、いちいち検問でもして確かめるというのだろうか。それは現実には完全を期すことは不可能だと思うが。
 自己を観察していて最近興味深いのが夢である。常日頃から碌な夢は見ないのだが、この前、とても幸せな気持ちにしてくれる夢を見た。目が覚めた後もその気分が残るほどにそれは心地の良い夢であった。これは私にとっては非常に稀なことである。かくも困難な状況に置かれているのを憐れんで、夢の神様がささやかなプレゼントとして送ってくれたのでもあろうか。
 他方、これはすでにFacebookにはアップした話なのであるが、実に奇妙な夢だったのでここにも記録として再録しておく。
 なぜか入院しているのである。検査の結果、脳の手術を受けることになった。相当に危険な手術になるらしい。主治医はというと、なんとドナルド・トランプなのである。「俺に任せておけ!」と右手の親指をぐっと私の前に突き出して、ウインクした。「これは助からない」と観念した。麻酔室に入ると、手術の前なのに、なぜか麻酔医がおはぎを出してくれた。私の好物である(どうしてわかったんだろう)。食べろと言う。半信半疑で一口食べると、これが実にまずい。なんか処刑前に好きなもの食べていいってことみたいで、深い絶望感に捕らわれる。麻酔室にはなぜか外に面した大きな窓がある。ぼんやり外を眺める。春雨が音もなく降っている。ブランド物で着飾った母親たちに手を引かれ、カラフルなレインコートを着た生意気そうな幼稚園児たちが列をなして窓前の瀟洒な建物に入っていく。
 「未来は彼らのためにある、お前はとっとと失せろ」ということだとこの夢を自己流に解釈して落ち込んだところで目が覚めた。