内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

母の命日 ―「善き人たちは死ぬものだと言うなかれ」

2024-12-22 07:19:13 | 雑感

 今日は母の命日である。十年前の今日、自宅で最後の息を引き取った。84歳だった。私自身が原因で引き起こされた数々の心配と心労が母の寿命を縮めたのはほぼ間違いない。それらがなければ、今もなお健在だったかもしれない。親孝行と言えることは何一つできなかった。慚愧に堪えない。
 亡くなる日の朝、背中が痛むから擦ってほしいと頼まれた。母の躰に直接触れたのは、おそらく幼少期以後、そのときが初めてだったと思う。しばらくだまって擦ってあげると、「ありがとう」と小さいがしっかりした声で言ってくれた。それが母から聞いた最後の言葉だった。
 亡くなった日の翌日から、感謝と弔いの意を込めて、九日間「たまゆらの記」と題した追悼記をこのブログに綴った。
 それを読み返しつつ、当時を思い起こし、母の生涯を回想しながら、今日一日を過ごしたい。
 昨日の記事で触れた三木清の「幼き者の為に」の冒頭には、古代ギリシアの詩人カリマコスのエピグラムの一行がギリシア語のまま、第一文の主語を省いて掲げられている。それを母の墓碑銘として捧げる。


「聖なる眠りを眠る。善き人たちは死ぬものだと言うなかれ。」
« dort d’un sommeil sacré ; ne dis pas qu’ils meurent, les gens de bien. »


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