内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

人と人の親和とは

2024-02-14 17:03:21 | 雑感

 「気が合う」「意気投合する」「嗜好が同じ」など、人間関係上の近しさを表す表現は多数あるが、私は特に「親和」という言葉を大切にしている。
 「親和」という言葉を辞書で引いてみると、「①互いに親しみ、仲よくすること。②異種の物質がよく化合すること。」(『明鏡国語辞典』第三版、2021年)とある。私はこの二つの語義がいわば混合されたような意味で人と人との間の親和を考えている。
 どういうことかというと、それぞれにさまざまな点で異なった存在である個人でありながら、一緒にいて話していると互いの間に引きつけ合う力が働き、その力から何らかの共通感覚が発生し、その共通感覚に刺激されて、それぞれのうちに互いに共鳴し合うような思考がそれぞれの関心に応じつつ形成されていることが対話を通じて互いに確認できるとき、私はそのような相互的引力を「親和力」、その結果生まれた共同性を「親和性」と呼び、そのような対経験を共有することができている相手に「私たちには親和性がありますね」と言いたいのである。
 親和とは、汝のなかに私を見出し、私の中に汝が見出され、私にも汝にも還元されえない思考と感性の次元が二人の間に開かれることだと言ってもよい。そのような相手に出会えることはそうそうあることではない。それだけに出会えたときの喜びは大きい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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