内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

文科省奨学生選考のための模擬面接

2025-02-08 23:59:59 | 雑感

 昨日は、午前中の合同ゼミの後、午後二時から八人の学部三年生のために日本語模擬面接を個別に行った。来週パリで行われる文科省奨学生選考に備えるためである。四年前、一人の学生が私に模擬面接と面接に関する助言を求めてきたのが事の始まりである。その学生が合格し、その後彼の口から後輩たちに私の模擬面接のことが伝わり、恒例化してしまった。もちろんカリキュラム外のことであり、ボランティアとしてやっている。
 昨年までの合格率は百パーセント。審査にあたる文科省の職員にストラスブールの学生たちは好印象を与えたようで、昨年11月には、文科省側からの提案で、担当者がパリから説明会のために来てくれた。
 それが功を奏して、というか、しすぎて、今年は応募者が十名を超えてしまった。そのうちの八人が私との模擬面接を希望したというわけ。フランス全体での奨学生総数は決まっているが、どの大学にどれだけ割り振るかは年によって異なる。学科の規模からして、弊日本学科はこれまで三枠だった。これが大幅に増えることはありえないので、今年は間違いなく不合格者が出る。
 それは仕方のないことだし、応募者の中には明らかに学業成績も日本語能力も不十分な学生がいることも事実だ。模擬面接ときの受け答えからして、三名、もしかしたら四名合格と見込んでいる。
 模擬面接では、まず、先週金曜日に行ったオンラインでの説明会でのアドヴァイスを踏まえて準備させた志望動機を五分間で述べさせる。その後私から三つ四つ質問する。あわせて十分程である。その後、アドヴァイスを与える。
 入室の際の挨拶、姿勢、着席前の態度からはじまって事細かに良かった点改善すべき点を指摘する。発音、声の大きさ、言葉遣い、姿勢、審査官に対する目線の配り方、質問が聞き取れなかったときの対処、予想外の質問で答えられないときの対処等、それぞれの学生の問題点に応じて助言する。
 志望動機の説明は、あらかじめ書いたテキストを暗記しようとせずにくり返し読んで体に覚えさせろ。本番では、それを思い出そうとするな。そうすると必ず目線が宙に浮いてしまうからだ。テキスト通りである必要はないし、間違っていてもいいから、大きな声で相手の眼を見て話せ。自分の志望動機を伝えたいという気持ちを伝えることのほうが重要なのだ。記憶の再生と感情の伝達とでは使われる脳の場所が違うのだ。この点は特に強調する。
 その他にも、学生の性格等を考慮しつつ、個別に心構えを「伝授」し、最後に、「自信を持て」と言って送り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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