
とある場所の、とある民。
外に仕事に行く日は、出来うるだけ、そこで仕事を片付けるようにしている。
せめて、この日は収容所には戻らない。
しかし、多くの日々は、しょんべん臭い水商売の女やコビ犬どもと、鉄柵が張り巡らされた収容所に居る。
ほぼスポイルされつつある、孤立無援状態で。
居心地の悪さ。
干上がった寒々しい、ギスギスした精神病棟としての仕事場。
昔で言う隣組の世界。そんなセコい相互監視収容所には居たくはないのだが。
救いは、一杯の温かいコーヒー。
そして、唯一、すーっと勝手に付けることが許されているラジオ。
FMラジオから流れ出る音楽。
それが、ボクに幸福を運んでくれる。
周囲は相互監視収容所であろうとも、ハッピーが脳に充満する幸福に包まれる。
それがあるから、周囲に居る正気を失った者どもに引きずり込まれず、かろうじてしのいでいられる。
ボクのあたまのなかでだけ、くるくる回るパラボラアンテナは、良質の音楽が流れ出すと、
その電波をキャッチし、耳のチューニング機能が連動してはたらくように出来ている。
華が咲き乱れる数分が来てくれる予感。それを想いながら暮らすこと。
それが収容所くらしをすっ飛ばす、一番の脳内麻薬。

■ジョイ・ディヴィジョン 「アトモスフィア」1980■
沈黙のなかを歩く
沈黙のなかに、おいて行かないでくれ
油断するな
つねに、危険は待ち伏せしている
終わることのない語り
今一度、生きる道を組み立ててみる
おいて行かないでくれ
キミの困惑、ボクの幻覚
自己嫌悪という仮面を着けながら
相対し、そして、死をむかえる
おいて行かないでくれ
大衆にとっては、たやすいこと
素をさらし、適当に暮らす
川に獲物を求め、街をさまよう
だがそれもすぐに飽きて
人並みに居を構える
沈黙のなかに、おいて行かないでくれ


相も変わらずの身勝手な訳。
ヤフーさんのチカラを借り、参考にしながら。



