二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

聴くことこそ楽器の始まり。

2012-09-12 10:40:40 | ■工房便り 総合 
人との関わり、物との関わり、

先ず聴くことで始まります。

私の仕事場では、ラジオもCDもかけていません。

屋根に落ちてくる雨の音や、

地を這う湿気の鳴りが聞こえなくなるからです。

木工屋は湿度に敏感でなければなりません、また必然的に敏感になります。

湿度は身体に伝わる響きとなり、木を削る音の違いとして感じます。

木を削る時、切断する時、鋸の振動や音がその仕上がり具合を教えてくれます。

もちろん機械で、切ったとしても、丸のこの音、その振動によって仕上がり具合が耳に聞こえ身体に伝わります。

「止めて!」と、年に3,4回は叫びます。

大きな木を丸のこの上で両手で支えて切断している時に、木が動きます。

時として5馬力もある丸のこの刃が木の締め付けで動かなくなることがあります。

丸のこは熱をおび、しだいにふくらみバラバラに回転し始め、締めつける木の間で暴れます。

この時手を離してスイッチを切ることが出来ません。

そこで、「止めて」と叫ぶのです。

このようになる予感というのはあります。

丸のこの振動が大きくなります、ほっておいても大丈夫な時も有り、時間の無い時、急いでいる時仕事の終わりかかりの時など、つい、警戒を怠ります。

このような時にこそ怪我も多いんだよと、若者達に言っているにもかかわらず、自分でやってしまいます。

音を聞き振動を感じるというのは、仕事の上では大変重要なことなのです。

溶接をします。

鉄をつけるのです。

溶接機のジーーーーーという音の変化があります。

その変化を聴いているだけでよく溶接出来ているかどうかが判るのです。

見るより確実です。

2000度を超える火花をじっと見るのですから、その中で鉄が良く溶けているかどうかを見るなどというのは、幾ら溶接面をしていたとしても、過酷なことです。

皆慣れると見なくなります。

その時は音を聞いて作業をしているのです。

刃物を研ぎます。

刃物の刃先が良く遂げる時の音は、無音です。

かすかな振動だけが手先に伝わります。

真っ平らですから、当然音はしません。

音がするのは、荒く研ぐ時か、平らに研げていないときなのです。

刃先がどのくらい仕上がったのかなどというのは目で見ては解りません。

ピタッと砥石に刃物が吸いついているその感触と砥石の上の細かな砥石と鉄の粉が引き起こす振動だけが刃物の仕上がり具合を教えてくれます。

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2 Comments

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Unknown (toyo)
2012-09-13 08:20:16
なかなか聞けない話だと思いました。

なにごとも、まんぜんとやっていてはだめですねえ。
勘がいいとか、こつを飲み込むのが早いとかって、物を観察する視点も違うんだ。

こういう話も、もっと、聞かせてください。
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toyoさん (nishino)
2012-09-13 09:43:11
お恥ずかしい限りです。
まだまだ二胡作りとしては駆け出しです。
ですから自分にも言い聞かせているところなのです。
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