二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡への疑問、その13、二胡高音が出ない。

2012-08-08 12:19:01 | ■工房便り 総合 
答えは一つです。

皮が緩んでいるからです。

それも、部分的に。

元々、二胡は高音が出にくい楽器です。

バイオリンのように美しく澄み渡った高音は出にくいのです。

理由は、振動板が皮だからです。

やり方はあるのですが、今度は低音が出なくなります。

低音も出て、高音も適度に出るような二胡と言うのは、1割も無いでしょう。

振動板が硬くシッカリ十分無厚みであるならば高音は出ます。

ところが、蛇皮は元々弾力のあるもので、シッカリと張るというのが難しいのです。

繊維質ががある一定の所まで伸ばされて初めて跳ね返るような弾力になります。

その繊維質の伸ばされた緊張感があるから高音も出るのですが、

蛇皮が一部分だけ、緩くなることが多いのです。

理由は、そもそも蛇皮が均一では無いということに有ります。

背中は伸びにくく、硬いですが、おなかは伸びやすいですね。

これはどんな動物でも一緒です。

背中の真ん中を中心に、綺麗に張ればかなり均一になりますが、これが中心がずれると均一には成りにくくなります。

二胡の量産物の中にはこういううふうに背中の真ん中を中心に取れていない物が3割ぐらいはあります。

蛇皮はおなかのあたりは、幅が、45センチくらい有りますから、横に2台は取ろうと思うと取れるのです。

一枚とるのに、15センチ角ですみますから。

二枚取れます。

そうすると、背中の硬い処とおなかに近い柔らかい処が一つの二胡に入ってしまいます。

おなかの方は伸びます、例え何回か伸ばしたとしても、二胡に作った後でも伸びます。

当然皮全体の緊張力がI一定では無くなり、高音が出なくなります。

これは張り替えるしか仕方が無いですね。

こういう二胡は見ただけで分かります。

左右の鱗の大きさが違います。

どちらかが大きいのです。

新しいうちはちゃんと鳴りますが、半年もすると高音が出なくなります。

それから、皮の張り型の問題がもう一つあります。

それは量産型は、2台を一緒に張るからです。経済効率としてはその方が良いのかもしれませんが、皮は一枚一枚伸び率が違いますから、2台を同時に張ると、どちらかが均一性が失われるのは当然です。

ですから高音が出ません。

その上最近出回っている通販の商品に、最初から皮が緩い物が多いのです。

通販の商品で一番気をつけなければいけないのはここでしょう。

写真を見ても解らないし、新しいうちは問題が出ないからです。

ただ実物を見ると、これは解ります。

なんとなくピンっと平らになっていないのです。

端の方がなんとなくぽってりとしています。

ただなれないと分かりにくいかもしれませんね。

どなたでも分かりやすいのは、内弦の高音がとても出にくいということです。

普通は弾きこめば鳴っていくのですが、これらの楽器はどんどん下がっていきます。

どこの会社のものと言えないのが、悔しいですね。

い言えるのは中国からの通販商品のうちの一つだとしか言えません。

お気を付けて下さいませ。



Comment    この記事についてブログを書く
« 二胡への疑問、その12、皮... | TOP | 8月5日(日)宇田川町から ... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ■工房便り 総合