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世界共同体憲章試案(連載第35回)

2020-06-26 | 〆世界共同体憲章試案

第22章 信託代行統治

〈信託代行統治の要件及び期間〉

【第142条】

1.世界共同体は、戦乱、災害その他の重大な事変のために自治が不可能となった世界共同体構成主体の信託に基づき、五年を超えない期間で、その構成主体に代わり、直接に統治することができる。

2.前条の信託は、その構成主体の民衆会議の決議による。
 
3.信託代行統治の期間は、信託代行統治域圏の現地代表機関の要請及び世界共同体総会の決議に基づき、二年間に限り、これを延長することができる。

[注釈]
 世界共同体構成主体は、直轄自治圏を含め、各々の民衆会議を通じた自治権を有するが、自治が不可能となる一定の場合に、自治を停止し、世界共同体が代行統治することができる。これが、信託代行統治制度である。現行国際連合の信託統治制度とは異なり、最長でも七年間に限定された暫定統治制度である。

〈信託代行統治機構〉

【第143条】

1.信託代行統治は、総会が設置する信託代行統治機構を通じてこれを行う。

2.前項の機構は、世界共同体事務局長が選任する三人の執政で構成される施政評議会がこれを統括しつつ、世界共同体事務局を通じて、民衆会議と同等の権限を行使する。

[注釈]
 信託代行統治は直接統治であるが、現地に設置される信託代行統治機構が民衆会議を代行する形で、実施する。

〈現地代表機関〉

【第144条】

1.信託統治域圏の民衆会議は、信託代行統治が継続する間、現地代表機関として存続する。ただし、民衆会議の存続が困難な場合は、民衆会議に代わる代表機関を設置することができる。

2.信託代行統治域圏の民衆会議または前項但し書きの代表機関は、信託代行統治が継続する間、信託代行統治機構との連絡調整機関として活動する。

[注釈]
 信託代行統治域圏の民衆会議は完全に停止するのではなく、信託統治が継続する間、現地代表機関及び連絡調整機関として活動する。

〈信託統治終了後の平和監視〉

【第145条】

1.世界共同体事務局長は、信託代行統治が終了した後、現地の情勢に関して、平和理事会に速やかに報告しなければならない。

2.平和理事会は、信託統治が終了した後、必要と認めるときは、旧信託代行統治域圏に平和監視団を派遣することができる。

[注釈]
 特記なし。

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