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続・持続可能的計画経済論(連載第29回)

2022-04-03 | 〆続・持続可能的計画経済論

第2部 持続可能的経済計画の過程

第5章 経済計画の細目

(6)製薬計画の特殊な構成及び細目
 薬剤は広義の食品に含まれるが、その特殊な用途から独立の品目として、広域圏の消費計画には含まず、固有の製薬計画に基づき、製造・分配される。薬剤は多くの場合、全世界で普遍的な共通需要を持つため、製薬計画の大元は世界共同体計画である。
 その際、普遍的需要がある基本薬剤と、少数の難病患者向けの特殊薬剤、さらに特定地域に固有の風土病に対応する風土薬剤が区別される。
 基本薬剤と特殊薬剤は世界共同体の薬剤規制機関により有効性と安全性が確証されることを条件に、世界共同体製薬計画に基づき、世界共同体傘下の世界製薬事業機構が製造し、全世界に公平に供給される。
 それに対し、風土薬剤は、その需要がある汎域圏(例えば、汎アフリカ‐南大西洋圏)の供給計画に基づき、世界共同体製薬計画に登載され、製造・供給される。
 また、感染症に対応するワクチンについては、パンデミックやエンデミック等の流行事象が発生したつど、その流行形態に応じた世界共同体の緊急ワクチン計画に基づき、製造・供給される。
 これら世界共同体の認証にかかる薬剤に対し、各領域圏の薬剤規制機関が独自に認証した薬剤については、各領域圏の製薬計画に基づいて、各領域圏の製薬事業機構が製造・供給される。
 その限りで、製薬計画は世界共同体計画と領域圏計画とに二元化される。ただし、領域圏計画に基づいて製造・供給されていた薬剤の有効性と安全性が世界共同体でも認証され、新たに世界共同体製薬計画上の品目に登載される可能性は常にある。
 この領域圏計画としての製薬計画の対象は全薬剤ではなく、医師の処方薬に限定されるとともに、その中でも特に基幹的な薬剤(上掲区分の基本薬剤に相当)に絞られる。その余の薬剤は公的承認審査に基づく製薬企業体による自由生産と供給に委ねられる。

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