旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

サン・セバスチャンからレイレへ

2012-05-18 08:44:35 | スペイン
《手造の旅》北スペイン第二日目午後
午前中、グッゲンハイム美術館を見学し、世界遺産ビスカヤ橋まで足をのばした。こちらでごらんください。
お昼はビルバオ旧市街ヌエバ広場の回廊にたくさんあるバルでいろんなピンチョスをつまむ。
食後に市場で買ったいちご
きのうのビルバオ到着時にパリに取り残されていたスーツケース二つを空港で受け取り
この辺の事情はこちらにてお読みください。

高速道路をサン・セバスチャンへ向かう。ここはカンタブリア海に面したリゾートだが、今日はそういう天気ではない。
それでも旧市街をあるく楽しみはある。
サンチャゴへ向かう巡礼たちのための教会

ずっと雨かと思っていたら、少し標高が上がったらすっと晴れてきた。レイレの修道院の表示がある
到着した18時半過ぎにはこのとおりの青空。今日宿泊の元修道院の石壁が美しい。
19時からグレゴリオ聖歌がうたわれるので、いそいで聖堂へ向かう。約三十分ほど、静謐な雰囲気に身を浸すことができた。
ここはナヴァーラ王国の初期に王達の霊廟だったところで、ロマネスクの美しい彫刻が残されている。随所にみられる彫刻がおもしろい。

地下に残る初期ロマネスクのクリプタは次回(いつ?)にとっておきます。
夕食はもちろんこの修道院のダイニング。アラカルトで美味しく食べられます。日本で注文するとハズレの多いアーティチョークがやわらか。




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ビルバオ~to B or not to B

2012-05-18 07:22:30 | スペイン
《手造の旅》北スペイン第二日目
ホテルを出てすぐに見えてくるのは港の再開発地区。

ここが日本人・磯崎新によって計画された地区であるとは知らなかった。ISOZAKI ATEA=磯崎の門、と呼ばれているそうである。
倒壊しそうだった旧税関の建物の枠を利用し、四万㎡の敷地にモダンなツインタワー(写真左奥のガラスのビル二練。ほかに六つのビルが建設されている。これらはオフィスだけでなく住居や住民の集える場所にもなっている。

すぐにグッゲンハイム美術館へのイントロとなる橋が見えてくる。この橋自体は1972年代に建設されたものだが、2007年そこに赤いゲートがフランス人建築家ダニエル・ビュレンによって置き換えられた。
ビルバオの空港から街へ入ってくる時、また、海から川をさかのぼって街に入る時、共にこの橋は必ず目に入る位置にある。グッゲンハイム美術館と呼応して、とても印象に残るモニュメントになっている。
ふと、昔買った絵葉書を探し出してみると、おお、たしかに全然違う雰囲気だったのだとびっくり!緑色の普通の柱がこんなに変わったのか。「アート」が街に与える印象はこれほどに大きい。
グッゲンハイム美術館の入口にはジェフ・クーンズのパピー(子犬)」という題がつけられた巨大な犬がそびえ立つ。
全身生きた花で形成された彼(彼女?)は季節が変わると色も変えられるのだそうだ。
背中からが良い。見つめている通りはイパラ・ギレ通り。

★グッゲンハイム美術館は2012年で15周年を迎える。この美術館がビルバオの街に与えた変化は大きい。
鉄鉱山という資源を持ち、機械・造船で産業革命を牽引したスペインを代表する経済都市ビルバオ。しかし1980年代までに街は汚れきって、とても魅力ある町とは言えなくなっていた。
フランコ独裁が終わり、バスクの自治が回復されるとバスクが稼ぎ出す金をビルバオの都市再開発に投入できるようになった。

街の真ん中にあった港や造船ドックを移転させ、街を再生させる大規模なプロジェクトを指導させる。その計画のシンボルとして、グッゲンハイム美術館を誘致し、フランク・ゲイリーのこの建築がコンペで選ばれたのである。一見奇抜な外見だが、実はこの建物はビルバオの歴史を支えてきた船のようにも見える。こちらご覧ください。
★★アムステルダムでおこなわれた都市再生国際会議における、ビルバオ市をとりあげたセッションの題名は象徴的だ。「to B or not to B」BはもちろんビルバオのB。ビルバオのように再生する都市となるのか、ならないのか(死んだような街になっていくのか?)。シェークスピアの「生きるべきか、死ぬべきか」の名文句にかけてある。
**

美術館の内部もまたすばらしい。

この曲線とガラスは、プラハの「踊るビル」を思い出させる。

ビルバオが鉄で反映してきたことは、表面がチタンのプレートで覆われている外見からも理解できるが、内部にもまた鉄を意識した展示がある。
世界最大の製鉄会社アルセロール・ミタルが協力して完成した鉄の彫刻。アメリカ人リチャード・セラが1997年の開館から構想、高さ4メートル、長さ31メートル、重さ180トン、の最初の作品から始まり、現在は七つになった。これ、三十年という「期間限定」展示なのだそうだ。
子供たちがはしゃぎながら走り回るのに最適な空間。でも、「DON'T TOUCH」って、無理ですよね(笑)。驚いたことにこれらの作品はただ床に置かれているだけ。誤ってつまづいてしまった時、ご~んと鐘を突いたような音が響き渡った。

作者によると、これもまたビルバオの歴史をイメージしている。この曲がった空間を歩く人は中世都市の小道を思い出させる・・・かしらん。

入口の「子犬」の作者ジェフ・クーンズが、彼のいつものワザ=風船をつかった花束をおいている。




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