《手造の旅》イタリア三都市、三日目。ヴェネチアから列車でフィレンツェへ。到着後サン・ロレンツォ教会付属のメディチ家礼拝堂、花の聖母大聖堂、ウフィッツィ美術館見学。
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少しゆっくり列車の旅をしたいと思って一等車を選ぶ。
いつもならそれほど混んでいないのだが、夏休みはほぼ満席状態であった。二時間半のいわば新幹線乗車時間で(円高の昨今)八千円程度なら利用価値は高い。
車両は三列配置で大き目のテーブルに電源も各座席用のライトもついている。飛行機みたいに飲み物にスナックサービスもある。スーツケースを持っている場合にはその置き場所もまだ見つけやすい。
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昼12時半フィレンツェ駅到着。駅構内から地下道を使って歩いていけるB(頭文字)ホテルを利用。スーツケースをごろごろ転がしていけばバス一台手配する代金を節約できる。列車は一等でも、こういう場面を少し頑張ればよいのである。時間は早かったが、ホテルの部屋へも入ることができた。
ランチは車内でサンドイッチ程度ですませていたので、13時過ぎには早速観光へ出発。
すぐ近くのサン・ロレンツォ教会に付属したメディチ家礼拝堂へ。
色大理石を組み合わせて作られた豪華な空間が美しい。しかし、結局最後のメディチ家マリア・ビアンカが死ぬまで完成してはいなかった。兄は後嗣無く没し、自分にも跡取りはない。名家メディチ家の最後の直系として、未完の礼拝堂をそのままにして没するのはどんな思いであっただろう。
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メディチ家礼拝堂はもうひとつ小さめの部屋が奥にある。ここにミェランジェロ作の有名な二対の作品がある。だいぶ以前に来た時に来た時には「ミケランジェロの作品だ」ぐらいしか分かっていなかったが、今回は優秀なガイドさんに解説をお願いしているので、いろいろ面白い話がきけた。
★曙と黄昏
★昼と夜
この、叔父と甥二人のメディチのために作られた祭壇は向かい合って配置されている。そして、その墓碑の上にある像は首をめぐらせて、同じ方向を凝視している。なるほど、指摘されてはじめて認識した。
その視線の先には聖母子の像が置かれていて、ミケランジェロは実はこちらの聖母子像の方を立派にしたかったのだそうだ。 なぜならその祭壇の下には無名の若きミケランジェロの才能を見出し庇護してくれたロレンツォ豪華王(通称)と、その弟で暗殺されたジュリアーノが葬られていたからである。
2006年から始まった「プロジェクト・メディチ」ではこの墓も開けられた。暗殺された弟のジュリオの頭骨は刀傷によって割られており、まさに本物である事がわかた。兄ロレンツォもその鼻骨の特徴が肖像画と一致した。有名人の墓というのはこれまでにも数度開けられており、その度に遺骨も含めたいろいろなものが行方不明になっている。だから、墓から出てきた骨であっても、まずは本人確認が必要なのである。
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午後三時前、花の聖母大聖堂入場。近頃は入場に一時間も並んだりするという話をきいていたので幸いだった。*****
ウフィッツィ美術館は15時半の入場予約。二時間ゆっくり話をうかがう事ができた。
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19時半、ホテル近くのレストランへ。夏の時期、多くの地元レストランは長い長い休暇に入ってしまうので、選択肢は限られる事にはなる。それでも、おいしい肉とおいしいポルチーニははずせない。この時期にはもう新鮮なものがでまわっているのです。
これが調理されて・・・こんな風に登場!
さらに、ビステッカ・フィォレンティーナ(フィレンツェ風ビフテキ)。「最低でも八百グラム以上で焼くこと」というのが本来のレシピだそうな。だから、これぐらいは当然強火で焦げ目がしっかりつくように焼いて、ちゃんと血が滴るぐらいがおいしい。★写真、拡大してご覧下さい。