定年といっても延長雇用によって仕事は変わらず、万事そのまま過ぎている。
日々業務に追われ、朝は8:00すぎに自席について退勤するのは20:00ころになる。
ただ、定年慰労会を開いてくれた元同僚たちが言うには、今回の自分の待遇はなかなか
のものであり、通常はこの位置に居続けるのはむつかしいのだそうだ。
自分自身のことはそんなに特別な人間ではないと思っているのだが、誰かが何か推して
くれてこういう待遇になったのだろう。
だが、いらぬ配慮だ。
自分は、少しゆっくり仕事をするか、もうそこそこ稼いだので余生に入ることを考えていた。
それが、月例給与でいうとほとんど下がらず、年収ベースでは賞与分で1,500千円ほど下がる
だけのイメージとなり、少し余分にもらえてしまうが故に家族はこれを失うことを
「勿体ない」と考えてしまうようだ。
特に奥さんと、アルバイトをして少し世間の金銭感覚に近づいた長女は「ン百万円」と聞くと
これを投げ捨てて「余生がどうの」などと言っている父の考えにはついてこない。
かくして逃げ道のなくなった自分はそのまま延長雇用となり今日に至っている。
収入が下がるどころか前述のように毎日のように時間外勤務を積んでいるので月齢給は
むしろ少し上がっている。
そんな中、今年は定年を迎えたこともあって家族で海外旅行か、少なくとも宮古島
あたりでゆっくり夏休みを過ごそうかと考えていた。
4人家族で1,000千円もあれば・・と考えていたが、これには奥さんから反対意見。
得意の「勿体ない」と「そんなに全員の予定を合わすのはむつかしい」という意見。
確かに一人は高校生なのでなかなか予定が自由にならないのと、自由になる日付が
ピーク時に重なってしまうので、さらにお金もかかるようだ。
仕方ないかな。
でも、宮古島くらいなら・・・・とツアーやホテルを見ていたが、なんだかバカバカ
しくなってきて考えるのをやめた。
まあ、家族と出かけるのは2~3日として、残りの休暇は自分のものにしよう。
得意のレンタルバイクを借り出して北海道か東北地方の未だ足を踏み入れた
ことのないところに行ってみよう。
そんな感じになってきた。
そもそもそんなに休暇がとれるのかという原始的な問題もある。
4月から引き継いだ仕事は極めて基本的な営業なのだが、今どきのシステムは
手間がかかってしようがない。
ん十億円もかかった自社システムなのだが、「合併」と「付け足しに次ぐ付け足し」で
システム間の連携が甘く、あっちに入力、こっちに入力と使いづらいシステムだ。
一方で元々企画した人物が事務方の人間であることも一因となって「融通」の利かない
偏屈な面も大きい。
いやいや仕事に関連したことを書くとルール違反になってしまうのでやめておこう。
要は、こんな勤務をしていると結局自分自身の予定もままならないということだ。
さて、我が家にはこの季節になると出動する扇風機1号とサーキュレーター2号がある。
1号は首が回らずビニール紐で固定させている。まだまだ羽根は回るので捨てるにはもったいない。
2号はもともと上下左右に風向が変えられるのがウリだが、現在は機嫌次第で上下動のみ。
こちらももったいないとのことで、奥さんは買い替えに反対だ。
万事この調子の家族なので、自分も少々のことではこの家から出られぬようだ。
なんだか自分が「だいふくもち」のようになりそうで怖い。(そんなに稼がないか・・・)