5月 10日

2011-05-10 00:17:06 | Weblog
            ( 赤塚植物園開花だより )


夏海を見下ろして木をゆさぶれる          細見綾子



写真はなんじゃもんじゃ(ひとつ葉タゴ)暦の上では夏と云っても日ごとに変わる気温に
それを感じることが出来ない5月ですが、樹花、草花の開花は確かに夏を実感させます
ころころの日曜日の散歩コースの区立植物園の今の開花状況です




唐種招霊(からたねおがたま)




紅花栃の木



半纏木(百合の木)



白雲木 甘い香りに虫たちの羽音がぶんぶん聞こえてきます




白山木


 伊吹嶺5月号 遠峰集より  


ゑびす舞小首ふりふり春を呼ぶ
リヤカーを引いて流しのえぶり舞
橅林透かす夕日や雪ゑくぼ
雪原に湯気立つ日和湖を見に
小白鳥乙女の像に鳴き交す         国枝洋子






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5月 9日

2011-05-09 00:47:20 | Weblog
             ( 黄菖蒲 )


黄菖蒲の池ひろびろと風渡る         星野 椿


黄菖蒲や姿川には姿橋            大野静枝


黄菖蒲や魚板のかわく翁堂          高井去私





旅人に雨の黄あやめ毛越寺           高野素十


 伊吹嶺5月号 遠峰集より 

梧桐の冬芽まつかや被爆の地
被爆樹の洞のつつぬけ風寒し
紅梅の脂の深紅や被爆寺
被爆銀杏囲む悴む手をつなぎ
しろがねの芯立つ被爆男松
水底の鯉に日の斑や春近し         都合ナルミ




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5月 8日   母の日

2011-05-08 01:08:56 | Weblog
              ( 母の日・カーネーション )


母の日を過ぎて山椒の葉の強し           細見綾子


母の日のしづかな雨が海にふる           林 徹


母の日のてのひらの味塩むすび           鷹羽狩行



さびしさの数を束ねてカーネーション        片山由美子


灯を寄せしカーネーションのピンクかな       中村汀女


抱きたるカーネーションや母米寿          安藤 立詩



 伊吹嶺5月号 遠峰集より 


立つや母は明るき服を選り
剥落の千手観音春浅し
太き手の鯛針納む針供養
まち針をジャムの小瓶に針納
本堂で鬼も経聞く節分会          鈴木みすず



母の日の母田を植うる泥まみれ   栗田やすし


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5月 7日

2011-05-06 23:07:32 | Weblog
             ( 竹皮を脱ぐ・竹の皮散る )



竹皮を脱ぐにあそべる烏骨鶏            野沢節子


竹皮を脱ぐひとときの無風かな           桂 信子


竹皮脱ぐ少し迷ひのあるように           摂待信子





竹皮を脱ぐ音にゐてかたつむり           大串章


竹皮を脱ぐ物書きて暮れしなり           大野林火



 伊吹嶺5月号 遠峰集より 

雪囲ふ奥より津軽三味の音
頬杖をつきし土偶や凍てゆるむ
涅槃絵図蛇も蛙も巻き納む
無事といふ友の電話や春寒し
足裏より春の寒さよ余震なほ
卒業子はにかみて言ふありがとう      栗田せつ子

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5月 6日

2011-05-06 00:02:21 | Weblog
               ( 杜若 )


花売女籠に走りの杜若            佐野美智


花びらの吹かれまがりて杜若         星野立子


杜若暮るるに間ある水明り          岡田六華子





杜若汀草にも咲きまじり           富安風生


袈裟まとふ間を待たされし杜若        車谷弘




 伊吹嶺5月号 巻頭句 


啄木の追はれし村や雪しまく
米蔵の版画ギャラリー雪明り
武蔵野の土黒々とはだれ雪
観梅や水漬きし畦の板渡り           栗生晴夫




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5月 5日 子供の日

2011-05-05 00:08:31 | Weblog
             ( 端午の節句・子供の日・鯉幟 )


相模野に端午の大凧あがりたり            滝沢伊代次


紙かぶと祖父にもかぶせ端午の子          岩村美智子


家格見せ忍野の里の鯉幟               森田公司


鯉幟垂れたる水田明りかな              行方克己




名所絵の明治風景花菖蒲               富安風生


天女らの舞ひ遺したる花菖蒲             仙田洋子



大鍋のカレー空っぽ子供の日             西岡一彦


子供の日二人暮しに椅子あまる            毛利友美



 伊吹嶺5月号  遠峰集より 

古墳山樫の実生の芽吹きたり
塩の道箱階段に享保雛
江戸雛扇無き手に指長し
雛飾り単身赴任の家守る
啓蟄の地に濃くなりぬ物の影         上田博子



月おくれの端午の幟一茶の地   細見綾子
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5月 4日 みどりの日

2011-05-04 01:10:12 | Weblog
               ( あやめ・文目 )


あやめ見にゆくと女等裾つらね            細見綾子


旅かなし紫あやめ野に咲けば             富安風生





濁り江や茂葉うつして花あやめ            飯田蛇笏


花と花の間さびしく花あやめ             大井雅人



 三寸あやめ


甘たれや三寸あやめ蕾立ち              篠田悌二郎




 伊吹嶺5月号  遠峰集より 

春の地震日本列島震撼す
春まだき町呑み込めり大津波
ライフライン絶たれし寒さ訴ふる
一言で電話切れたる余寒かな
余震また余震よ春を眠られず
地震幾夜寒さはここに極まれり
寒き夜を親子肩寄せ過ごせしや          下里美恵子



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5月 3日 憲法記念の日

2011-05-03 01:30:43 | Weblog
             ( 卯の花・空木 )


卯の花や白川郷へ橋一つ            栗田やすし


卯の花に風のはげしくなるもよし         細見綾子





谷空木・同じ空木(うつぎ)ですがこちらはスイカズラ科、卯の花はユキノシタ科
茎が中空なのが一緒なのでこう呼ばれているのでしょう





手毬花

手毬咲き山村憲法記念の日            水原秋櫻子

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5月 2日

2011-05-02 00:17:29 | Weblog
           ( 栃の花 )


濃く淡く山脈昏るる栃の花             原 裕


空の音空にて消ゆる栃の花             正木ゆう子


御岳の神に総立ち栃の花              青柳志解樹


栃咲くや飛騨をかぎりて摩利支天          堀口星眠


仰ぎ見る樹齢いくばくぞ栃の花           杉田久女



 独り言 


伊吹嶺5月号が届く、普段から仲良くさせて頂いている栗生晴夫さんの巻頭に喜ぶ
晴夫さんの句の特徴は耳がいいことだと思っている 聴力ではなく聴解力とでもいうのだろうか
説明はし難いが今までそういう人と出合ってきたから分かる

また巻頭作家欄には横森今日子さん、4句欄には森垣昭一さん、太田滋子さん、どなたも
ふだんの句会を一緒にしている仲間。これをきっかけに益々佳句を連作されることだろう
明日からのブログでまた紹介してゆこう

 伊吹嶺5月号 遠峰集より

釈迦堂の空をはなれず春の鳶
春霞ドックに赤き貨物船
笹鳴や小藪がくれに文庫館
春燈す慶派仏師の一系図
帝釈天腰撓やかに春の彩           宇佐美こころ

( 金沢文庫で行われた運慶展と称名寺吟行句 )         



今日は八十八夜 


田一枚鏡や八十八夜待つ            阿波野青畝

本郷も変りしといひ新茶買ふ             細見綾子

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5月 1日 

2011-05-01 00:42:39 | Weblog
             ( メーデー・労働祭 )


馬と人泥田に挿さり労働祭           西東三鬼


ユダの徒もまた復活す労働歌          加藤楸邨


踏みしだく芝の青さや労働祭          水原秋桜子


主婦たたら踏むメーデーやヒロシマに      沢木欣一


メーデーの日の空席に本置かれ         森田智子


メーデー歌遠し蚕籠を洗ふ背に         山本つぼみ



独り言 

写真は2009年の日比谷公園のメーデー。俳句の仲間十数名と吟行したときのもの

メーデーの列動きだす土埃        こころ

誌上で主宰選になった一句です

伊吹嶺に入会して今月でまる3年、あっという間の時間でした
永く俳句をしてきてもっとも充実していたように思います
栗田先生に出会えた事を感謝してこれからもっとこころの俳句を深めて行きたい








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