踊る小児科医のblog

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成人の喫煙率低下目標は男女とも0%に(健康日本21への意見)

2006年09月15日 | 禁煙・防煙
#「健康日本21中間評価」で成人の喫煙率低下目標の設定が争点となっていて、厚労省へのパブコメの期限が明日16日に迫っています。ギリギリになってしまいましたが、次のような意見をメールで送りました。その中で引用されている日本禁煙学会の意見書は、メタボリック症候群対策一辺倒の最近の厚労省の政策を転換させるための重要な内容であり、今後の禁煙対策の拠り所となる論文で、原文を書いた松崎先生の論文も近日中に医事新報に掲載される予定だとのことです。
http://www.nosmoke55.jp/action/0609kenkou21.doc

→「健康日本21中間評価報告書(案)」の公表-喫煙率低下の数値目標-とパブコメ募集

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健康日本21中間評価報告書(案)に対する意見

健康日本21中間評価報告書(案)のタバコ対策に関して、
1)成人喫煙率低下の数値目標を「男性25%、女性5%」とすべきです。

その根拠は、日本禁煙学会(http://www.nosmoke55.jp/)が本年9月1日付で提出した「健康日本21中間評価報告書(案)に対する意見」(下記に結論のみ抜粋)に詳細に述べられている通りで、その内容に全面的に賛成します。
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1. 喫煙は働き盛り日本人男性の最大の死亡原因である。
2. 日本人男性の癌死亡の3~4割は喫煙が原因である。
3. 能動喫煙も受動喫煙もメタボリック症候群のリスクを大きく増やす。
4. 現在の日本人の健康を守るための最優先課題は禁煙である。
というエビデンスに基づき以下を提言する。
1. 成人喫煙率低下の数値目標を男性25%、女性5%とすべきである。
2. 法定健診・人間ドックを受診した喫煙者に「要禁煙治療」と通知するように制度を変えるべきである。
3. 厚生労働省の生活習慣病予防標語「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」は「1に禁煙、2に運動と食事、最後にクスリ」に変更すべきである。
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また、喫煙率低下目標を達成するために、
2)タバコ税の大幅かつ継続的な増税と、それを財源とした禁煙治療の適応拡大やタバコ規制政策、タバコ農家転作対策の早急な実現
3)未成年の喫煙開始に重大な悪影響を及ぼしている屋外タバコ自動販売機の撤去
4)飲食店などの屋内施設の禁煙または完全分煙を実現するために、健康増進法第25条を改正して罰則規定を設けること
5)その他、タバコ規制枠組み条約(FCTC)の内容を適切かつ早急に実施するための、包括的な「タバコ規制法」の制定
を求めます。

また、喫煙率の低下目標は今回の3案の中で仕方なく男性25%、女性5%(半減)を選びましたが、これは本来「男性0%、女性0%」とすべきです。半減の目標は、ゼロを目指して最大限の努力をしてはじめて得られるものあり、半減を目標値とすればその半分(4分の3)しか達成されないことになりかねません。毎年十数万人もの命を奪い続けているタバコから国民の命を守るために、早急に先進諸外国なみのタバコ規制政策と喫煙率低下を実現すべきです。

なお、タバコ産業関係者から喫煙率の低下目標を設定すること自体に反対したり、数値をできるだけ高く設定させるように大量の組織票が送られているものと予想されますが、国民の健康を守るための「健康日本21」の中で、国民の健康を奪っている最大の原因であるタバコを製造販売することによって利益を得ている人たちの意見を、ただ数が多いという理由だけで採用することは不適当であり、適切な判断を下していただくようお願いいたします。葉タバコ農家の生計を守るためには、このまま喫煙率をなるべく低下させないように抵抗するのではなく、上記2)に書いたようなタバコ税大幅増税を財源とする転作対策の早急な実現をお願いします。