踊る小児科医のblog

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日本人はなぜ長寿か/青森県民はなぜ短命か

2006年09月27日 | 禁煙・防煙
24日に八戸市健康まつりで開催された市民フォーラム「市民と共に健康を考える」で中路重之先生(弘前大学社会医学講座教授-青森県タバコ問題懇談会顧問)講演された内容が昨日(26日)のデーリー東北に掲載されています。

私は急病診療所当番で出席できなかったのですが、6月に八戸で開催された弘前医学会の公開講座でほぼ同じテーマのお話を伺っていて、今回の資料も医師会から頂いていますので、簡単に紹介させていただきます。

記事の冒頭「問題提起」の部分に、「青森県の平均寿命は日本で一番短い。男性の平均寿命は、トップの長野県と比べて3.2歳短い。これは、単純に一人の人間の寿命を表しているのではない。平均寿命という一つの数字だが、すべての年代で死亡率が1.4-2倍高いのが現実。年間の死者7千五百人が五千人に減ることで、ようやく長野と同じになる。これは大きな差だ」と書かれています。

この元データを下記に引用しましたが、これをみてわかるように、青森県の男性は30代から60代という若い働き盛りの年代において、同じ年代の長野県男性と比べて約1.5倍も死にやすいという現実があります。私も平均寿命には特に若い年代や乳幼児の死亡率の差が大きく影響してくることは頭ではわかっていましたが、その3歳の違いというのがこれほどまでに大きな差の蓄積であったとは、数字を見て始めて理解できた次第です。

詳細は記事に譲りますのでそちらをご覧下さい。(ネット上ではまだ読めないようですが)

ポイントは、喫煙と肥満、多量飲酒、自殺予防(心の健康-楽しく生きること)で、青森県から送られてくる封筒に書かれている「健康あおもり21重点課題-肥満予防 喫煙防止 こころの健康づくり」の具体的内容について、市民と共に考えるための講演だったようです。

(以下、スライドの資料より一部を引用)

■日本人はなぜ長寿か

     スリムな体型
   ヘルシーな食生活           独特の保険・医療システム
少ないアルコール摂取量 → 日本の長寿 ← 高レベルの保健システム
   女性の低い喫煙率     ↑     高い医療レベル
             交通機関の発達
             健康への関心の高さ
             平等主義・健診の普及
             高い安全性
                ↑
         高い経済レベル 日本文化と日本人気質

■都道府県の寿命ランキング
          男性              女性
    1965年   2000年   1965年   2000年
------ ------------------------------------------ ------------------------------------------
1. 東京 69.8 長野 78.9 東京 74.7 沖縄 86.0
2. 京都 69.2 福井 78.6 神奈川74.1 福井 85.4
3. 神奈川69.1 奈良 78.4 静岡 74.1 長野 85.3

45.岩手 65.9 高知 76.9 青森 71.8 栃木 84.0
46.秋田 65.4 秋田 76.8 岩手 71.6 大阪 84.0
47.青森 65.3 青森 75.7 秋田 71.2 青森 83.7

■平均寿命のもつ意味

長野県と青森県の男性の平均寿命の差3.2歳は、一人の人間が、青森県では75.7歳まで生き、長野県では78.9歳まで生きる、ということではない。

       10万当り死亡数(2000年) 
        長野県  青森県
0歳      257  504(2.0倍)
30-39歳   84  117(1.4倍)
40-49歳  215  339(1.6倍)
50-59歳  541  755(1.4倍)
60-69歳 1207 1756(1.5倍)

以上のような差がたった一つの平均寿命の値の差として計算される。

(引用終わり)