これまで書いたことと重複しますが、予防接種後の死亡4例について、厚労省や保健所の発表と報道を合わせた限られた情報の中で、再度まとめて解析してみます。(推測が混じっているので確かなことは何も言えませんが)
→4症例の情報PDF(厚労省)
1)宝塚市 2歳男児 ヒブ+肺炎球菌 基礎疾患あり(心室中隔欠損症、慢性肺疾患、気管支喘息、てんかん) 翌日死亡 「容態が急変」とだけ報道されていて直接の死因や経過は公表されていない
2)西宮市 1歳女児 三種混合+肺炎球菌 基礎疾患なし 翌日死亡 呼吸停止状態で発見
<経過>
3月1日 小児用肺炎球菌ワクチンとDPTワクチンを接種
夜中に39℃の発熱
3月2日 午前9時過ぎ 接種医療機関を受診
軽度の咽頭扁桃発赤のみで全身状態良好
午後1時半頃家族が呼吸停止に気づく
救急車到着時、心肺停止状態
午後2時56分、死亡確認
3)川崎 6ヶ月未満 女児 三種混合+ヒブ+肺炎球菌 基礎疾患調査中(報道では基礎疾患なし) 接種後3日で死亡
<報道より抜粋>
2月17日接種 3日後の20日午前8時ごろ呼吸停止状態で発見、救急搬送後死亡確認
4)京都 6ヶ月以上1歳未満 女児 三種混合+ヒブ+肺炎球菌 基礎疾患あり(右胸心・単心室・肺動脈閉鎖) 接種翌日死亡
(以上のお子さんについて、ここでは症例●という表現をさせていただきます。)
このうち川崎の症例3は、接種後の経過が明らかになっていないのでそれにより判断が違ってきますが、接種後3日経っているので直接の因果関係は考えにくく、いわゆる「紛れ込み事故」の可能性の方が高そうです。生後6ヶ月未満という月数と、基礎疾患のない乳児が突然死を起こしている経過からは乳幼児突然死症候群(SIDS)の可能性がありますが、SIDSの診断には剖検が必須とされているので断定的なことは言えません。すでに半月以上経っていることから、剖検の結果も明日の検討会で出てくるのではないか推測されます。(もし「紛れ込み事故」の可能性が高くても予防接種副反応の救済措置の対象とすべきだとは思いますが。)
西宮の症例2は一番経過が明らかになっていますが、前にも書いたように接種当日の発熱についてワクチン接種との関連の可能性はあるものの、翌日朝の受診時に「全身状態良好」であったにも関わらず、その後数時間で突然死を起こしており、その数時間の間に前日接種したワクチンの影響によって急激に悪化して突然死するというのは医学的には考えにくいストーリーです。発熱などの経過があるのでSIDSとは言えないと思いますが、発熱後に突然死を起こすウイルス性心筋炎やインフルエンザ、ロタウイルスによる脳症などを示唆する剖検所見や検査結果がないかどうかもポイントになってくるかと思われます。
宝塚(症例1)と京都(症例4)の子には比較的重い基礎疾患があり、それが影響していたことは確かだろうと思いますが、そこに接種が何らかの影響を及ぼして引き金(トリガー)になったということも当然考えられます。その両者のウェイトがどれくらいということは、数値的に表すことは不可能ですが、接種前の一般状態、基礎疾患の経過や程度などによって判断は異なってきます。
基礎疾患のある子に対する予防接種は、接種すべきでないということではなく、むしろ感染すると悪化しやすいことが多いため、主治医の判断により、状態の安定している時期に主治医の元で注意深く行われるのが普通です。この2症例もそうだったものと推測されますが、不幸にして死亡という転帰を迎えたことについて、それを健康な子への接種にまで一般化して解釈することは難しいものと思われます。
突然死の2症例については剖検やその他の検査結果が、基礎疾患のある2症例については主治医による総合的な判断が必要になってくるものと考えられますので、現時点での推測はここまでとしておきます。
繰り返しになりますが、予防接種と副反応とされる事例との「因果関係を証明」することも、「因果関係を否定」することも一般には非常に困難であり、その間のグレーゾーンの中で、シロに近いグレーなのか、クロに近いグレーなのか、どの程度の濃さか判断できない場合なのかなどの判断がなされることになります。
もし「シロ」であることが証明できないと再開できないとしたら、全ての予防接種ができなくなってしまいます。予防接種についてはあらゆる国で行われているように、リスクとベネフィットを勘案して、適切に判断がなされることを望みます。
亡くなったお子さんの親御さんにとっては、確率という数字上の問題ではなく、ご自分のお子さんが亡くなったという100%の問題であり、予防接種によって亡くなったという受け止め方をするのは当然のことと思います。それに対して真摯に受け止めてできる限りの原因究明や救済措置がなされるべきと思います。
ただし、今回のケースについて接種見合わせが続くにせよ再開されるにせよ、他のワクチンを含めて、今後も同じようなケースがゼロになるわけではないことも知っておく必要があるでしょう。
→4症例の情報PDF(厚労省)
1)宝塚市 2歳男児 ヒブ+肺炎球菌 基礎疾患あり(心室中隔欠損症、慢性肺疾患、気管支喘息、てんかん) 翌日死亡 「容態が急変」とだけ報道されていて直接の死因や経過は公表されていない
2)西宮市 1歳女児 三種混合+肺炎球菌 基礎疾患なし 翌日死亡 呼吸停止状態で発見
<経過>
3月1日 小児用肺炎球菌ワクチンとDPTワクチンを接種
夜中に39℃の発熱
3月2日 午前9時過ぎ 接種医療機関を受診
軽度の咽頭扁桃発赤のみで全身状態良好
午後1時半頃家族が呼吸停止に気づく
救急車到着時、心肺停止状態
午後2時56分、死亡確認
3)川崎 6ヶ月未満 女児 三種混合+ヒブ+肺炎球菌 基礎疾患調査中(報道では基礎疾患なし) 接種後3日で死亡
<報道より抜粋>
2月17日接種 3日後の20日午前8時ごろ呼吸停止状態で発見、救急搬送後死亡確認
4)京都 6ヶ月以上1歳未満 女児 三種混合+ヒブ+肺炎球菌 基礎疾患あり(右胸心・単心室・肺動脈閉鎖) 接種翌日死亡
(以上のお子さんについて、ここでは症例●という表現をさせていただきます。)
このうち川崎の症例3は、接種後の経過が明らかになっていないのでそれにより判断が違ってきますが、接種後3日経っているので直接の因果関係は考えにくく、いわゆる「紛れ込み事故」の可能性の方が高そうです。生後6ヶ月未満という月数と、基礎疾患のない乳児が突然死を起こしている経過からは乳幼児突然死症候群(SIDS)の可能性がありますが、SIDSの診断には剖検が必須とされているので断定的なことは言えません。すでに半月以上経っていることから、剖検の結果も明日の検討会で出てくるのではないか推測されます。(もし「紛れ込み事故」の可能性が高くても予防接種副反応の救済措置の対象とすべきだとは思いますが。)
西宮の症例2は一番経過が明らかになっていますが、前にも書いたように接種当日の発熱についてワクチン接種との関連の可能性はあるものの、翌日朝の受診時に「全身状態良好」であったにも関わらず、その後数時間で突然死を起こしており、その数時間の間に前日接種したワクチンの影響によって急激に悪化して突然死するというのは医学的には考えにくいストーリーです。発熱などの経過があるのでSIDSとは言えないと思いますが、発熱後に突然死を起こすウイルス性心筋炎やインフルエンザ、ロタウイルスによる脳症などを示唆する剖検所見や検査結果がないかどうかもポイントになってくるかと思われます。
宝塚(症例1)と京都(症例4)の子には比較的重い基礎疾患があり、それが影響していたことは確かだろうと思いますが、そこに接種が何らかの影響を及ぼして引き金(トリガー)になったということも当然考えられます。その両者のウェイトがどれくらいということは、数値的に表すことは不可能ですが、接種前の一般状態、基礎疾患の経過や程度などによって判断は異なってきます。
基礎疾患のある子に対する予防接種は、接種すべきでないということではなく、むしろ感染すると悪化しやすいことが多いため、主治医の判断により、状態の安定している時期に主治医の元で注意深く行われるのが普通です。この2症例もそうだったものと推測されますが、不幸にして死亡という転帰を迎えたことについて、それを健康な子への接種にまで一般化して解釈することは難しいものと思われます。
突然死の2症例については剖検やその他の検査結果が、基礎疾患のある2症例については主治医による総合的な判断が必要になってくるものと考えられますので、現時点での推測はここまでとしておきます。
繰り返しになりますが、予防接種と副反応とされる事例との「因果関係を証明」することも、「因果関係を否定」することも一般には非常に困難であり、その間のグレーゾーンの中で、シロに近いグレーなのか、クロに近いグレーなのか、どの程度の濃さか判断できない場合なのかなどの判断がなされることになります。
もし「シロ」であることが証明できないと再開できないとしたら、全ての予防接種ができなくなってしまいます。予防接種についてはあらゆる国で行われているように、リスクとベネフィットを勘案して、適切に判断がなされることを望みます。
亡くなったお子さんの親御さんにとっては、確率という数字上の問題ではなく、ご自分のお子さんが亡くなったという100%の問題であり、予防接種によって亡くなったという受け止め方をするのは当然のことと思います。それに対して真摯に受け止めてできる限りの原因究明や救済措置がなされるべきと思います。
ただし、今回のケースについて接種見合わせが続くにせよ再開されるにせよ、他のワクチンを含めて、今後も同じようなケースがゼロになるわけではないことも知っておく必要があるでしょう。