踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

新型コロナ:死亡率の減少:地域差:基礎疾患リスク:フェーズは「流行蔓延期」に

2020年02月24日 | 新型コロナ
中国の確定44,672例の続きについて、書きかけていたのですが遅くなりました。

死亡例のリスクファクターの最大のものは前述のように年齢で、80代以上14.8%、70代8.0%です。

基礎疾患別では、心疾患10.5%、糖尿病7.3%、呼吸器疾患6.3%、高血圧6.0%、がん5.6%と続き、基礎疾患なしは0.9%(全体の平均は2.3%)となっています。



ここでは喫煙者について検討されていませんが、SARSやインフルエンザなどと同様に、喫煙者は死亡率が相当高いことが推測されます。
(慢性の呼吸器疾患の大半は喫煙者だと推測されます)

地域別では、武漢を含む湖北省で2.9%、中国のその他の地域では0.4%と大きな差がみられます。

注目すべきデータとしては、発症時期別の死亡率が、1月中旬以降激減しており、2月以降では0.8%まで減少していることです。

この「地域差と時期による変動」については、当初は武漢に限定して、重症例だけがピックアップされて統計に揚げられていたと考えられるので、そのバイアスを差し引いて考える必要がありますが、それにしても他地域の0.4%(全時期)と2月以降の0.8%(全地域)という数字を見比べてみると、これまでの平均2.3%を大きく下回っており、名目上の致死率も今後相当下がってくるものと予想されます。

当初より、名目上の致死率は1%以下、実質の致死率はその1/10の0.1%程度と見込んでいます。

これらの数字は、楽観的な予測を示唆しているとは言えません。
致死率1/1000(0.1%)は、もし東京の1千万人のうち百万人が感染したら、千人が死亡するという意味です。
(国内では一千万人の感染者のうち1万人が死亡)

これは、インフルエンザの超過死亡数と同じレベルですが、毎年インフルエンザで高齢者を中心に1万人が亡くなってもニュースにもパニックにもなりませんが、新型コロナで1万人が死亡すると仮定すると「国難」ということになってしまいます。

問題は、治るか重症化=サイトカイン・ストーム(免疫系の暴走)=するかという分かれ目がわかっていないことです。リスクファクターは上記の通りですが、リスクの少ない比較的若い人の一部が重症化していることには注意が必要です。

95%くらいは軽症か無症状だとしても、千人に一人が亡くなる(インフルエンザと同等)というのは、対処法は普通に扱っていいけれども、強い感染症であるということも確かだということです。

ごく一部の重症化しそうな方をピックアップすることが肝要で、これは普通の診療と何ら変わるものではありません。特に、子どもでは重症化は非常に稀であり、旧型コロナ、新型コロナ、その他の風邪を分けて考える意味はないし、見分けはつきません。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。