踊る小児科医のblog

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「病院の7割以上が赤字」これで国民の健康を守れますか?

2007年03月07日 | こども・小児科
ほかにこんな惨憺たる業界があったら教えて下さい。。
(ないと思う…だって普通これだと産業自体が成り立たないから)
これが、小泉・安倍政権がズタズタにしてきた日本の医療の実態です。

これらの病院、ことに9割以上が赤字の自治体病院は、どこも地域医療の中心として住民の健康を支え続けていたのですが、すでに医師確保も困難になり、診療科の閉鎖や、病院再編の中で診療所への転換を余儀なくされるところが相次いでいます。
残された大病院では過重負担にあえいでいるし、民間病院、特に中小の私立病院は国の政策転換で経営が立ちいかなくなり、閉鎖や倒産・合併吸収が今後も増え続けるものと予想されます。
そして、このような病院の経営状態にも関わらず、先進国の中で最も低レベル(GDPあたり)にある医療費を、更に毎年削減し続けようというのが小泉・安倍政権の医療政策なのです。

もちろん、個々の病院で経営上の問題や非効率的な部分を改善する努力は必要でしょう。
人件費や高額医療機器、病院機能再編(集約化)など様々な問題はあります。
しかし、全体のパイが厳しく制限されているのですから、経営努力は現場の過重労働に跳ね返ってくるだけで医療の質の向上には結びつかないことが多く、根本的な国の政策転換が必要なことは「医療崩壊」関係のブログにみられる一部の声だけではなく、医療界の一致した切実な意見です。

これは当然のことながら医療だけの問題でなく、医療を利用する全国民の生死、国家の存亡に関わる大問題なはずですが、安倍首相は戦争ごっこは大好きでも、国民の健康を守る危機意識があるとはとても思えません。
事態が好転する望みは非常に薄い。。
多分、今年が最後の防衛戦だと思う。
あとに残るのは、医療の荒廃した「美しい国」。

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Report:全国公私病院連盟 日本病院会・2006年病院運営実態分析調査
病院の7割以上が赤字 4年ぶりに増加

 全国公私病院連盟と日本病院会はこのほど、例年実施している病院運営実態分析調査について2006年調査の概要をまとめた。調査に回答した病院は 1172病院。総収支差額で赤字となる病院が全体(1145病院)に占める割合は、02年調査以来減少していたが、06年調査では72.8%となり、増加に転じていることなどが分かった。

 調査対象は、公私病盟と日病に所属する3406病院のうち、調査票に回答があった1172病院。例年6月の1カ月間を対象に調査を実施している。このうち、自治体病院599、その他公的病院(日赤・済生会・厚生連・社保など)267、私的病院279、国立・大学病院27となっている。
 06年6月の1カ月分の総収支差額(総費用と総収益の差額)について、回答があった1145病院をみると、27.2%(311病院)は黒字だったが、72.8%(834病院)は赤字であった。
 赤字病院の占める割合は、02年調査を境に低下してきていたが、今回の調査で再び赤字病院の割合が高まるという結果となった。
 これを開設者別にみると、自治体病院の90.7%、その他公的病院の59.6%、私立病院の47.3%がそれぞれ赤字となっている。
 100床当たりの総収支差額と医業収支差額では、総費用が1億5102万4000円(前年6月比2.0%増)、総収益が1億3927万円(同0.4%増)となっている。総収益から総費用を差し引いた額は1175万4000円の赤字となり、総費用対総収益比率は108.4%となっている。(以下省略)

小林眞八戸市長の「美しい詭弁」

2007年03月06日 | 政治・行政
今朝の新聞を読んでビックリ仰天。驚き桃の木山椒の木。(>_<)
これは、教科書に載せたいくらいの、詭弁の典型例と言ってもいいでしょう。
小林八戸市長が副市長2人制で役割分担示す(2007/03/06)
>二人制導入に伴う人件費については、三月末で南郷区長が廃止
>となることを踏まえ、
>「収入役と副市長の比較で、年額百六十五万円の増となるが、
>南郷区長を含めた特別職四人体制と比較すると、総額で減と
>なる」と強調した。
> これに対し、寺地議員は「財政改革を進める中、基本は一
>人と考える。トップマネジメント強化の意欲は理解できるが、
>市民の声は厳しい」と指摘。
>一方、前澤議員は「賛否はあるが、市民の批判を受けないよう
>行政運営をするかが課題だ」と理解を示した。

整理して考えてみるまでもありませんが、一応。。

 A 助役(の給料;以下同じ)
 B 収入役
 C 南郷区長
 D 副市長 (D>A>B>C または D>A>C>B)

 1)現在     A+B+C
 2)南郷区長廃止 A+B
 3)収入役廃止  A
 4)副市長1人  D
 5)副市長2人  D+D

南郷区長は合併の際に特例として出来たポストで、廃止して1)→2)になることは既定事項であり、Cが減ることは検討の対象外。
今回、更に収入役が廃止になるのだから、3)の状態を基準に考えるべき。
4)の副市長1人は、D>Aなので3)よりもアップ。
5)の副市長2人だと、2)のA+Bより更にアップする。

今回の議論は、5)と3)を比較すべきで、当然 D+D>>A であるのに、
こんな議論の仕方でも議員や市民や記者を騙せるとでも思ったのか、全く比較の対象にならない1)を持ち出してきて D+D<A+B+C で減っているから良いのだという。

市民を馬鹿にするにも程がある。
この人事は誰がみても、単に収入役廃止後のポストを確保することだけではないのか。
(大体からして、もともと収入役なんて何の仕事をしているのかわからないし、おく必要なかったのでは=現に収入役をおいていない市町村は多数あります)

しかも、現在の助役と収入役は市の部長経験者で、退職して(退職金をもらい)関連団体に天下りして、更に採用されたという経緯があるはず。
(副市長になって退職すればまたまた退職金が支給される)

それ以前の問題として、みなさん今の八戸市の助役と収入役の名前を知ってますか。顔がわかりますか。知りませんよね。
(前の大河原助役は“実質的な市長”だったからよく知ってたけど)

この件に関して市民は口に出していなくても内心非常に疑問に思っているはず。
こんな答弁で簡単に済むと思ってもらっては困るし、状況によっては市政与党の議員に厳しい風が吹くこともあり得るでしょう。。誰が与党なのかわからないのですが…(^^;)

インフルエンザの治療は…タミフル、漢方薬、くすりなし?

2007年03月05日 | こども・小児科
◎ インフルエンザの治療薬…先に選択肢をあげて簡単に説明しておきます。

 □ タミフル(抗インフルエンザ薬)…飲み薬・1歳以上
 □ 麻黄湯(漢方薬)…飲み薬・全ての年齢
 □ リレンザ(抗インフルエンザ薬)…吸入薬・年長児以上
 □ 特別の薬は使用せず、対症薬(咳・ハナミズの薬や解熱鎮痛剤)のみ

 その他に、シンメトレルというA型にだけ効く抗インフルエンザ薬もかつて使われていましたが、副作用の点で使いにくい薬なので、現在は処方しておりません。麻黄湯は昔から使われているいい薬で、タミフルと比較して大差なく熱の期間を短縮することがわかってきました。リレンザの使用経験は当院ではありませんが、上手に吸入できればタミフルと同等の効果があるとされています。インフルエンザウイルスに抗生物質は効きませんが、気管支炎・肺炎などの合併症を起こしている場合には追加で処方することはあります。

 何も使わないで経過をみた場合でも、ほとんどの方は自分の力で治っていくわけですが、有熱期間が長いだけでなく、咳などの症状や全身倦怠感など、それなりにつらくなることが多いと思います。B型はA型よりも軽く済むことが多く脳炎・脳症などの合併症も少ないことが知られています。

 タミフルは2-3回服用すると自覚症状も熱もピークを過ぎて楽になってくれる、これまでのインフルエンザの“常識”を変えた薬で、新型インフルエンザにも効果があるはずなので、その特効薬として位置づけられています。

 昨シーズンまでの数年間、日本では多くの患者さんにタミフルが処方されてきましたが、世界的には日本の使用量が突出して多いという事実もあります。

 タミフルについては次に説明しますが、当院ではインフルエンザ確診例にはタミフルまたは麻黄湯を、インフルエンザ疑い例には麻黄湯を、保護者の納得と合意の上で処方することを基本として今シーズンは対応したいと思います。

◎ タミフルに関する小児科医と厚労省の見解

 昨シーズンのタミフル副作用に関する調査結果については前号でも紹介しましたが、タミフル服用群で副作用が多いという関係は認められていません。タミフルは全国で多くのインフルエンザ患者に処方されている薬であり、今年も1万人以上の大規模な調査を継続して実施しているところです。

 それでは、今年の2名の痛ましい転落死事例についてどのように考えていけばいいのでしょうか。現時点では断定的なことは言えませんが、まず厚生労働省の見解を紹介しておきます。

 1)転落死の事例については情報を収集し十分な検討を行う。
 2)タミフル使用と精神・神経症状に起因するとみられる死亡との関係については否定的で、現段階でタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えていないが、更に詳細な検討を行うための調査を実施している。
 3)タミフル服用の有無に関わらず、インフルエンザによる異常言動の発現(約10%)が認められており、まれに脳炎・脳症を来すことがあるので、万が一の事故を防止するため、小児・未成年者の診察の際には次の2つを求めています。

 (1) 異常行動の発現のおそれについて説明すること
 (2) 少なくとも2日間、保護者は小児・未成年者が一人にならないよう配慮すること

 インフルエンザの中でもA型は脳炎・脳症を発症することがあり、その経過の中で、意識障害、痙攣、異常行動、譫妄(せんもう)などの精神・神経症状が認められることは知られていました。また、そこまで進行しなくても高熱が続く1~2日目にうなされたりわけのわからないことを言ったりすることがあり、これが脳炎・脳症の初期症状なのか区別がつきにくいため、心配な様子なら夜間でも急病診療所(23時まで)か救急病院(輪番制=当番病院は消防に問い合わせ)を受診することもやむを得ません。

◎ 因果関係(原因→結果)とは別に症状を修飾した可能性

 薬の効果や副作用の関係を調べるには「疫学」という統計学的な手法が使われます。例えば、喫煙本数が多いほど肺がんや喉頭がんの発生率は数倍から数十倍にはね上がることから、タバコと肺がん・喉頭がんの間には強い相関関係が認められると結論できます。

 ただし、今回のタミフルと精神・神経症状との関係のように、多数例の調査をしても差が認められなかったり、ごくわずかの差しか出ないことが予想される場合、個々のケースについて因果関係(タミフルが転落死の原因)を確定することは非常に困難ですが、全体の頻度としては差がなかったとしても、そこにタミフルが加わったために症状が修飾された可能性は否定できません。

 つまり、タミフル服用の有無に関わらず異常行動が同じくらいの割合で起きたとしても、タミフルを服用していなければうわごとを言ったり徘徊する程度のものが、タミフルを服用したために転落という特異な症状になったのではないかという推測です。今回のケースは小児科医の間でも議論になっていて様々な意見が飛び交っており、その中でこのような仮説も出てきたわけですが、確かなものとしてお伝えする材料はありません。いずれにせよ、マスコミのセンセーショナルな報道だけに惑わされることなく、きちんとした情報に基づいた判断をしていただきたいと思います。なお仙台市の男子中学生の場合、昨年もインフルエンザでタミフルを服用したが特別な症状はなかったとのことです。

 八戸に何度も来ていただき講演してくれている国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は、「すぐに使用を禁止すべきだというほど服用と異常行動に強い関連があるとは思わないが、服用者は多く、調査が必要だ」との見解を示した上で、「タミフルは病状を早く楽にする薬で、飲まなければ命を落とす薬ではない。副作用を心配するなら、その不安を押し殺して飲む必要はない」と話す一方で、新型インフルエンザ流行時については「もし致死率が高く、タミフルが効くなら、不安に耐えてでも飲むべきだ。今のインフルエンザとは別問題だ」とコメントしています。

 現時点での判断としては「インフルエンザにかかったからといって全員がタミフルを飲む必要はなく、漢方薬など他の選択肢もありますが、自覚症状が重くてつらい場合などは服用することで早く楽にすることができます。タミフル服用の有無に関わらずインフルエンザでは異常行動のおそれがあるので注意して看病して下さい」ということになります。

2/25~3/3:2月は100km寸前で断念/週46.5km(RUN 27.5km)

2007年03月04日 | SPORTS
26日(月)エアロバイク500kcal(7.5km相当) 2日間皇居を走ったので休養日。エアロバイク負荷19で。東京マラソンビデオ最後。
27日(火)休み 急病診療所当番
28日(水)エアロバイク760kcal(11.5km相当) 今月最終日に走って100km達成するつもりだったが、朝方の小雪と風で断念。サッカー香港戦をみながらエアロバイク負荷18~20で70分。月間225.5km(RUN 94.5km)。今月は10回走ったので、12月から合計33回。
3月1日(木)RUN 7.5km 東運動公園4周。風がまだ強め。
2日(金)RUN 6km+Walk 2km(7km相当) 講演会往復を3kmずつ走ったが、帰りはアルコールが少し入っていたためかばてた。
3日(土)RUN 1km 青森で会議。アスパムから青森駅まで1km弱を走って最終の特急に間に合ったが息切れ。 /週46.5km(RUN 27.5km)
4日(日)RUN 15km 午前中に東運動公園を久しぶりに10周15km。足が重く「予定のゆっくり想定タイム」よりも更に遅くなってしまった。午後、びわ湖毎日マラソン観戦。ローソンでうみねこマラソンのエントリー。

MRワクチン2期接種率低迷の続報

2007年03月02日 | こども・小児科
2月14日に青森は全国40位~MRワクチン2期接種率とお知らせしましたが、その後の県内各市のデータを含む記事が東奥日報に掲載されました。

混合ワクチン接種率、本県40位(2007年3月1日)
>昨年十月時点で22%、全国四十位と低迷(全国平均約30%)

ここまでは前回書いた通り。以下は新たな取材でわかったデータ。(リンク先参照)

>一月末現在
> むつ市  70%(未接種家庭に通知)
> 十和田市 61%
> 弘前市  54%
> 青森市  45%(浪岡地区除く)
>十二月末現在
> 八戸市  44%(未接種者への個別周知は予定していない)

集計時期は異なりますが、個別通知など市の側の対応によって接種率に差が出ているのは明らかです。
八戸市は全然やる気なし。

なお、この件は2月16日に東奥日報とデーリー東北にメールで情報提供したので、それから取材して記事になったものだと思いますが、デーリーでは記事にもならず、メールを受け取ったとの返事もなし。梨の礫(つぶて)。

「走る知事」ふたたび

2007年03月01日 | 政治・行政
浅野史郎氏が都知事選出馬の意志をほぼ固めたようですね。
14年前にはじめて宮城県知事に当選したとき宮城県民だったので当時の新鮮な印象は今でも覚えています。
その後もメールマガジンなどを通じて自らの生の声を積極的に伝えようとする姿勢を高く評価していたので、いまは東京都とも宮城県とも関わりのない身ではありますが、その動向に注目していました。

浅野氏出馬へ 「宮城の乱」再び ”戦友“説得、心動かす(河北新報)
浅野史郎『夢らいん』
浅野史郎さんを勝手に応援する無党派ネット
みどりの一期一会
浅野さんと都民のハートに火をつける会

東京マラソンでちゃっかり得点を稼いだ石原知事ではありますが、ご存じのように「走る知事」といえば浅野知事の代名詞でした。(現在は東国原知事に)
今も全国を飛び回りながら合間をみて走っている様子はジョギング日記で読むことができます。
新刊の著書『許される嘘、許されない嘘』を読んでみることにしました。
「許されない嘘」はわかるとしても、「許される嘘」の方は何なんだろう。

この国の本質を巡る論戦を期待したい。
ところで、わが青森県は…。