陶芸を再開して1年、轆轤を挽くようになって半年が過ぎた。これまで、おっかなびっくり作っていたので、たいしたものも無い代わりに、使い物にならないものができあがるという意味での失敗も無かった。それが、今日焼きあがった器で初めて底が抜けているというものが登場した。底が抜けているというと大袈裟なのだが、乾燥段階で底にヒビが入り、そのまま素焼きと施釉を強行したものなので、結果は予想の範囲内なのだが、期待する状態というものが無いわけではなかったのも確かである。
以前、国立近代美術館の工芸館で、磁器の湯呑のような器で底にヒビが走り、そのヒビから薄い水色がかった白マットのような釉薬がはみ出しているというのを見かけた。その記憶がまだ鮮明である頃に、ちょうど自分が作っている器のなかに底にヒビが入ったものが2つあったので、同じような感じになるだろうかと施釉をしてみたのである。素焼きの段階はそれほどとも思わなかったのだが、釉薬をかけて本焼きをしてみると、ヒビが大きくなり、釉薬はヒビにとどまることなく流れ落ちてしまった。
尤も、素焼き段階までは気付かなかったが、本焼きから上がってみると微かにヒビが入っていたという器もあった。これは、照明に透かしてみると底に3箇所のヒビがあることがわかる。そのヒビに釉薬がとどまり、期せずして作ってみたいと思っていたものができた。本当に釉薬がとどまっているのか、穴が開いてしまっているのか、見ただけではわからなかったので、中に水を入れておいて仕事に出かけて帰宅してみると、水は漏れていなかった。釉薬の強度がどれほどなのか知らないが、ちょっと使う気にはなれない代物ではある。
もし、釉薬だけで保たれているところが抜けてしまい、中にある液体が漏るようになったら「はてなの茶碗」とでも名づけてみようかと思う。
「はてなの茶碗」というのは落語の「茶金」という話に登場する茶碗である。そして、「茶金」の茶碗のように出世してくれたら、本当に笑いが止まらなくなってしまうかもしれない。茶碗作りは上手くいってもいかなくても楽しいものだ。
画像の茶碗の概要:
最大直径 145mmくらい (轆轤で挽いたとはいいながら、多少の歪みがあるため「くらい」という表現になる)
高さ 73mmくらい
土 赤土
釉薬 透明釉
焼成 還元
以前、国立近代美術館の工芸館で、磁器の湯呑のような器で底にヒビが走り、そのヒビから薄い水色がかった白マットのような釉薬がはみ出しているというのを見かけた。その記憶がまだ鮮明である頃に、ちょうど自分が作っている器のなかに底にヒビが入ったものが2つあったので、同じような感じになるだろうかと施釉をしてみたのである。素焼きの段階はそれほどとも思わなかったのだが、釉薬をかけて本焼きをしてみると、ヒビが大きくなり、釉薬はヒビにとどまることなく流れ落ちてしまった。
尤も、素焼き段階までは気付かなかったが、本焼きから上がってみると微かにヒビが入っていたという器もあった。これは、照明に透かしてみると底に3箇所のヒビがあることがわかる。そのヒビに釉薬がとどまり、期せずして作ってみたいと思っていたものができた。本当に釉薬がとどまっているのか、穴が開いてしまっているのか、見ただけではわからなかったので、中に水を入れておいて仕事に出かけて帰宅してみると、水は漏れていなかった。釉薬の強度がどれほどなのか知らないが、ちょっと使う気にはなれない代物ではある。
もし、釉薬だけで保たれているところが抜けてしまい、中にある液体が漏るようになったら「はてなの茶碗」とでも名づけてみようかと思う。
「はてなの茶碗」というのは落語の「茶金」という話に登場する茶碗である。そして、「茶金」の茶碗のように出世してくれたら、本当に笑いが止まらなくなってしまうかもしれない。茶碗作りは上手くいってもいかなくても楽しいものだ。
画像の茶碗の概要:
最大直径 145mmくらい (轆轤で挽いたとはいいながら、多少の歪みがあるため「くらい」という表現になる)
高さ 73mmくらい
土 赤土
釉薬 透明釉
焼成 還元