熊本熊的日常

日常生活についての雑記

ピリ辛つゆの鶏つけ蕎麦

2010年05月19日 | Weblog
夕食は職場のあるビルのなかの商店で買って、自分の席で食べる。使う店は3つか4つくらいだが、今の職場で働くようになって1年5ヶ月目に入り、商品棚やケースに並ぶ惣菜や弁当はほぼ食べつくしてしまった。それでも、コンビニの棚にはいつも何かしら新商品が並んでいる。

今日は午前中の木工に出かけ、帰りに「ますも庵」で「モツ煮込みうどんセット」をいただき、家に帰って2時間も昼寝をしてしまったので、夜になってもそれほど空腹を覚えなかった。ただ習慣なのかもしれないが、19時を過ぎると息抜きも兼ねてコンビニに出かけた。そこで「ピリ辛つゆの鶏つけ蕎麦」とペット入り紅茶を買い、夕食にした。

コンビニで販売している弁当類の進化には驚かされることが多かったが、さすがにもうできることはやり尽したという観が無きにしも非ずだ。今日の蕎麦もそうなのだが、買ってすぐに食べることのできるものが割合として減っているように感じる。勿論、買ったものをどのように食べようと買った人の勝手なのだが、「おいしいお召し上がりかた」というものが書いてあれば、それに従うものだろう。この蕎麦の場合、まず付属の水を蕎麦にかけてほぐし、別の容器にそばつゆを用意していただくのである。

確かに、かたまったままの蕎麦をもぐもぐ食べるよりは水でほぐして蕎麦らしく啜ったほうがおいしく感じられるかもしれないし、そばにふりかける海苔は別の袋にしておいて食べる直前にかけたほうが海苔の風味が活きるのはわかる。しかし、しょせん出来合いの蕎麦でしかない。なんのかんのと作る側の思い入れを語ったところで、そのもの本来のあり方からは程遠い代物が多い。「本格派」の「本格」とはどのような意味なのだろうか。総じてコンビニの弁当類のありようは、中途半端な感を否めない。ついでに言わせてもらえば、電子レンジで仕上げ調理をすることを前提にした商品というはやめて欲しい。私は電子レンジが嫌いだ。あの不自然な温まり方が気持ち悪い。家に電子レンジはあるが、たまにオーブンとして使う程度で、レンジ機能を使うのは3ヶ月に1回あるかないかだ。

とはいえ、商品開発の苦労は伝わってくるものだ。工夫の跡もなんとなく分かるつもりだし、そういうところがコンビニ商品の味わいのでもあると思う。今、手元にアエラのムックで「Go!Go!コンビニライフ」という2005年5月に発行されたものがあるのだが、面白いのでいまだに捨てずにとってある。こうしたものを読むまでもなく、並んでいる商品を手に取ったり食べてみたりすれば、その開発から販売に至るまで、多くの人たちがそれぞれに情熱を持って関わっていることも感じられる。しかし、コンビニの商品でおいしいと思うものはひとつもない、と断言できる。

今日のように食欲がそれほど無いとか、仕事の繁忙期で席を外す時間を極力短く抑えたい、というようなことがない限りは、コンビニでの買い物は必要最小限にとどめている。弁当は「えん」のほうが値段もそれほどかわらないのにおいしいし、サンドイッチなら「神戸屋キッチン」まで遠征したほうがはるかにおいしいものをいただける。

それでも、私の生活はコンビニ抜きには成り立たない、かもしれない。今はコンビニでの買い物に使うカードを2枚持っているのだが、一番多い時は4枚持っていた。それがあれば、現金なしで買い物ができるので、現金を持たないことを心がけている身としては(持つ現金が無いという説もある)所持金を気にせずに買い物ができてポイントがたまり、そのポイントを現金化することもできるコンビニカードはたいへん有り難い。アマゾンで買ったものは近所のローソンで受け取る。コンビニは昔の田舎のよろずやのようなもので、単なる商店ではなく、生活支援拠点と呼んでも過言ではない。

ところで、コンビニのおにぎりや弁当を製造している会社が先月1日に民事再生法の適用を申請した。この会社は1988年に水産物の製造・加工業として始まり、2004年に食品加工工場を買収、2005年には民事再生法適用を申請した同業他社を買収して冷凍寿司の製造販売に進出、2006年には大手コンビニから10%の出資を得た子会社を設立、同業他社から営業権を取得して千葉県にそのコンビニ専属の水産物加工工場を稼働させる、というように急速に業容を拡大していた。2009年5月期の売上は過去最高の145億2900万円、グループ全体では205億5000万円である。それが、冷凍寿司事業の海外展開で躓き、通貨オプション取引でもこのところの円高で損失を発生させ、急速に資金繰りが逼迫したという。民事再生法適用申請時点での負債総額は92億2200万円で、これとは別に通貨オプション取引の損失があるという。

詳しい事情は知らないが、こうして報道されている情報から察するに、財務の失敗だろう。本業の現場が必死の努力で築き上げた信用とその上に成り立つ収益を、一握りの財務担当が博打のような金融商品で摩ってしまったということではないだろうか。なんとなく、経営者の発想が、コンビニの商品のように中途半端だったのだろうなと感じてしまうのは私だけだろうか。

この会社のウエッブサイトを見ると、デザインには凝っているようだが、中身の無いサイトだ。見てくればかり、それすらも人を食ったような薄っぺらなもので、業容の急拡大と経営者の能力が乖離してしまったことによる倒産という、よくありがちな姿が見え隠れしている。

こういうことを見聞きしてしまうと、自分の生活のなかにコンビニというものをあまり関わらせるのは健康な姿ではないと感じる。