これから本格的にプラモデル作りを始めようと考えていらっしゃる方のためのお話の第7弾です。
今回は塗装とマーキングの基本的な手順についてです。
既にお話しました通り、エア物と艦船を中心としたお話であり、ラッカー系の吹付け塗装を前提としたお話になることをご了解ください。
※組み立て前のパーツの段階で洗浄を行い、離型剤は既に洗い流してあることが前提です。
1.パーツの仕上げ
パーツの表面のキズやヘコミを無くし、平滑で綺麗な下地を作ることが大切です。
特にメタリック塗装をする場合や艶ありのピッカピカ塗装をする場合は入念に仕上げる必要があります。
組み立て中についた手垢や手の脂分を落とすためにも、可能であれば、もう一度洗浄します。
そこまでやらないにしても、塗装するキットやパーツ全体の埃やヤスリの削りかす、コンパウンドのかすなどをブラシ等で入念に落とし、点検することは最低限必要です。
後で塗り分けが難しくなったり、吹付け塗料が上手く回らない(掛からない)ような場合を除いて、できるだけパーツを組み立ててから塗装に掛かった方が良いです。 その方が頑丈に綺麗に仕上がります。(塗装してから接着面の塗装を剥がしてしっかりと綺麗に接着するのは意外と難しいものです。)
例えばエアモデルの場合であればキャノピーなど取り付けてから塗装するのが良いです。
2.サフ吹き(正式にはサフェーサー)
「サフは使わない」という方もいらっしゃいますが、私の場合は必ず使います。
理由は、以下の2つです。
・塗装の食いつき、隠ぺい力共に断然良くなって、結果的に薄吹きで済む。
・細かいキズや隙間、段差が見つけやすくなる。
この段階でキズや段差、埃の付着などが見つかった場合は、程度に応じて対処します。
サフはスプレー缶でも良いですが、経済性を考えるとクレオスの1500番のグレーサフをシンナーで薄めたものを使用しています。
銀塗装の場合はクレオス1500番のブラックサフを使う場合もあります。
サフをあまり厚く吹くとモールドが消えてしまう場合もあるので、あくまでも薄吹きでOKです。
もうひとつ大切なことを忘れていました。
エア物のキャノピーだけはサフを吹く前に、先に機内色を吹いておいて下さい。
そうしないとキャノピーのフレームの内側がサフのライトグレーになってしまいます。
3.シャドウ吹き
これは人によって様々ですが、私の場合、大戦中のエア物や艦船であれば、パネルライン(外板の継ぎ目)や凹凸の陰になる部分に黒、又はグレーの線をエアブラシで細吹きします。(これをシャドウと呼んでいます)
下の写真は1/72のB-17の例です。 上面は後で濃い色(オリーブドラブ)を吹くので黒、下面は薄い色(ライトグレー)を吹くので、濃いめのグレーを細吹きしています。
4.小物の塗装
エア物で言えばコックピットやエンジン、足回り、プロペラなどのパーツです。
こういうパーツは細かい塗り分けが必要になる場合が多いので、メインの色を吹きつけてから、細かい部分の色を面相筆で塗り分けていきます。ここは筆塗りの世界です。
筆塗り用の塗料はエアブラシ用に薄めたものでは駄目なので、元々瓶入っている塗料の原液をリターダー(塗料の乾燥を遅らせる薄め液)で少しだけ薄めたものを使うと塗りやすいです。
塗装が終わった小物パーツは組み立てながら、墨入れやドライブラシで立体感を出していきます。
下の写真はドントレスのコックピットの例です。
5.基本塗装
原則として、薄い色から順にマスキングをしながら、下地のシャドウが薄っすらと見えるくらいに吹いていきます。
先程のシャドウがどういう効果をもたらすかの例です。
下の写真はB-17の例です。 全体にオリーブドラブを吹いてから、パネルの内側だけ少し明るい色で吹く方法もありますが、シャドウを吹く方法の方がはるかに簡単です。
1/48のドントレスの例ですが、このように濃い色でもそれなりに効果があります。
基本塗装で注意しなければならないことがあります。
市販のラッカー系塗料には「艶あり」、「半艶」、「艶消し」の3種類があります。
これはつや消し剤(シッカロールのような微細な粒子)の含有量の差なんですが、ミリタリー系の色については殆どが半艶になっていて、この微粒子が入っています。
これが曲者なんです。
半艶で塗装した上に貼っても綺麗に馴染むデカールもありますが、中にはシルバリングを起こしてしまって馴染まない場合があります。 これはマークソフターを使っても解消されません。
下の写真がその例です。 主翼と胴体に貼られたデカールの周辺が白く浮いているのがお判りになると思います。 こうなってしまっては殆どリカバリー不能です。
対策として私の場合は、極力、艶ありの原色塗料を調合して、塗装すべき色を作って吹くことにしています。
調合の難しい色の場合だけ「半艶」を限度に市販のカラーを使うようにしています。
デカールを貼る心配の無い部分以外は「つや消し」塗料は絶対に使いません。
一通りの塗装が終わったら、必要に応じて退色表現の吹付けを行います。
例えば、塗装色を少し明るくしたり暗くしたりして明度を調整したものや、もの凄く薄めたライトグレーを部分的に吹く・・・などです。
これは一概には言えません。 ケースバイケースです。
6.デカール貼り
塗装がすべて完了したらデカールを貼っていきます。
デカールを貼る部分にマークセッターを塗っておき、その上にデカールを乗せ、位置を決めたら、綿棒を「転がして」(絶対に擦らない!)で空気を抜きながら密着させて行きます。
大抵はこれでOKですが、なじみの悪い場合や、筋彫りが深い場合はマ-クソフターを塗って、乾燥するまで放置します。 マークソフターが乾くまでは絶対に触ってはいけません。
ピトー管や機銃、アンテナ支柱、脚、プロペラなどの破損し易い突起物パーツは、デカール貼りが終わった後か、又は8.の工程が終わった後に取り付けると安全で良いと思います。
7.墨入れ
デカールが完全に乾燥したことを確かめてからエナメル塗料を極薄に薄めたもので墨入れを行います。
面相筆を使って、できるだけはみ出さないように筋彫りに沿って流し込んでいきます。
エナメル塗料が8割がた乾いたところで、エナメルシンナーを浸み込ませた綿棒(又はテッシュ)ではみ出したエナメル塗料をふき取っていきます。
エア物の場合はふき取った跡が自然な汚れに見えるようにするため、必ず前から後ろに向かってふき取ります。 艦船ものなら上から下です。
8.チッピングと汚し
これは好みの問題になりますが、デスクトップモデル風に綺麗に仕上げたいか、歴戦の疲れを表現したいかなどによって変わってきます。
これも必要に応じてチッピングや汚しの表現をします。
・チッピング
別名「ハゲチョロ」。 塗装が部分的に剥げて下地のアルミが出ている表現です。
面相筆で「それらしく」アルミやジュラルミンの色を挿していきます。
下の写真は1/72のB-17の例です。
外板の角の部分、エンジンカウルの縁、プロペラの回転方向のエッジなどです。 実物の写真を参考にして楽しんで下さい。
・汚し
泥やオイル、排気ガス、錆などの汚れを表現します。
どこがどのように汚れているか、実物の写真で確かめながら、ご自分の想像も働かせて、タミヤのウェザリングマスターやエナメル塗料、色鉛筆などを上手く付かって 楽しみながらやってみて下さい。
下の写真は1/48のP-40Nですが、排気ガスと機銃の汚れを表現しました。
9.全体の点検とタッチアップ
塗装の薄いところや剥げているとこと、はみ出しているところなどが無いかどうか、もう一度点検し、もし見つけたら面相筆などでタッチアップ塗装して補修します。
10.トップコート
アクリル系(水性)の半艶(又はつや消し)クリアを全体に吹いて、艶を整えます。
同時に全体を被膜で覆うことで、デカールや墨入れ、汚しを定着、保護する目的もあります。
11.マスキング剥がし、張り線張りなど
最後にキャノピーなどの、残っていたマスキングを剥がします。 ドキドキする瞬間です。
最後にアンテナ線や張り線を張って完成です。
お疲れ様でした。
写真を撮って、飾り棚に大切に仕舞いましょう。
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