万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

社会悪を引き出す組織を潰そう

2008年07月12日 16時11分20秒 | 社会
教員採用汚職「組織的」反論できない…大分県教育長が会見(読売新聞) - goo ニュース

 個人レベルでの事件であるならば、悪事を働いたその人に罪相応の罰を受けさせることによって、悪の芽は摘まれます。しかしながら、悪しき行為が組織の慣行となりますと、個人の問題としてもはや済まされません。

 組織の内部にあっては、悪しき行為が常態化しますと、感覚が麻痺し、罪の意識を感じなくなると言います。また、良心の痛みを感じながらも、制裁や仲間外れを恐れて、組織悪に染まってゆく人もいるかもしれません。しかも、それを糺そうとする勇気のある人は、巨大な組織を相手に孤立無援で闘わなくてはならなくなるのです。そうして、誰もが、自分や身内可愛さに見て見ぬふりをしますと、その被害は、自分たちの組織を越え、負のスパイラルとなって、他の罪のない人々や社会全体に及んでしまうのです。組織が人々の心の中に悪を育て、それを引き出しているのです。

 大分県の教員採用汚職も、組織が社会悪を引き出した典型例です。社会の模範となるべき教育者が、不公正な手段で教職を売買していたのですから、腐敗もここに極まれりです。汚職は大分県に限ったことではないとの指摘もあり、最近の教員や公務員のレベル低下は、この組織悪に原因があるとも考えられます。ここまで実態が明らかになってきたのですから、すべきことは決まっています。社会悪を引き出す組織は、潰さなければならないのです。と同時に、教員や公務員の採用制度を、より透明性のある仕組みに変えてゆく必要もあります。

 もしかしますと、日本国の教育再生の第一歩とは、公平性と公正性を旨とした、教員採用制度の改革から始まるのかもしれません。

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コメント (2)
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