万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国外交白書―自己評価は当てにならない―

2008年07月19日 12時10分42秒 | アジア
対日、ロ関係は発展と評価 近く発行の中国外交白書(共同通信) - goo ニュース
 自己評価は当てにならない、ということは、言わば常識なのですが、殊更、中国政府の発表(中国外交白書)と言うことになりますと、これは、かなり割り引いて考えなくてはならないと言えそうです。主観が全てで表面を取り繕うのが好きな”中国的”には、日中関係は、改善されたということなのでしょう。

 しかしながら、近年の日中関係を振り返ってみますと、少なくとも日本国では、むしろ、2007年は、中国の異質性が明らかになった年、あるいは、その始まりの年として記憶されそうです。中国側にとりましては、温首相の訪日の”氷を解かす旅”という表現に現れるように、本格的に日中関係改善のスタートを切った年と捉えたいのでしょう。しかしながら、現実は、その方向性とは逆の方向を向いてしまったようなのです。毒入り餃子事件以降は、両政府の思惑や友好の演出を離れて、日本国民の中に、中国に対する警戒心を高めてしまったのですから。

 さて、チベット弾圧により激しい国際批判を浴び、聖火リレーで各国の顰蹙を買い、そうして、北京オリンピックが開催されることになる2008年は、どのような年として評価されるのでしょうか。来年度の中国外交白書は、さらに、現実離れしたものとなるかもしれません。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする