NY原油が反落、終値123・26ドル…1か月半ぶり安値(読売新聞) - goo ニュース
昨今の急激な原油と穀物価格の上昇によって、物価高への対応という難問を、政府、企業、消費者ともどもは抱え込むことになりました。価格高騰の原因として、金融機関による投機マネーの流入が指摘されていますが、それでは、何故、商品市場における投機が、経済全体に破壊的な力を及ぼすのでしょうか。どうやらそれは、証券市場と商品市場とは、似て非なるものであるからのようなのです。
第一に、証券市場にあって、金融は、企業の資金調達を助けるという重要な役割を果たします。この融通の機能なくして、市場のメカニズムは機能しませんので、金融の本領発揮ということになります。一方、商品市場においては、金融には、このような役割は期待されていません。期待されている役割があるとすれば、それは、価格変動のリスクに備えたヘッジです。つまり、商品市場では、先物取引が主要な取引内容になるのですが、現実の売買を伴わない先物取引は、容易に投機に転化してしまうのです。
第二に、証券市場は、企業価値が株価という数値で測られることはあっても、”もの”の直接的な価格形成の場ではありません。一方の商品市場では、需給のバランスに基づいて、”もの”の価格が決定されることが期待されています。もし、価格形成の場に、大量の投機資金が流入するとしますと、当然に、適正な価格形成はできなくなりますし、価格の上昇は、物価を直撃することになるのです。
第三に、証券市場では、将来性を見込んだ投資がありますので、金融は、企業を直接に育てる役割を果たします(企業と金融の利益は一致)。一方、商品市場にあっては、投機筋は、理由はともあれ”値上がり”期待によって判断します。つまり、商品市場では、企業や消費者にとって”良いニュース”である石油の増産や豊作は、金融にとっては、”悪いニュース”になるかもしれないのです。
以上のように見てみますと、証券市場と商品市場とは別ものであって、その区別をなくしたところに、今日の悲劇があるのかもしれません。しかも、商品市場における価格上昇が、企業収益の悪化と景気後退をもたらし、証券市場における株価下落を招くわけですから、これでは、悪循環による自己の利益相反も起きてしまいそうです。金融は、そろそろ、金融の原点に帰る日が来ているのではないか、と思うのです。
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昨今の急激な原油と穀物価格の上昇によって、物価高への対応という難問を、政府、企業、消費者ともどもは抱え込むことになりました。価格高騰の原因として、金融機関による投機マネーの流入が指摘されていますが、それでは、何故、商品市場における投機が、経済全体に破壊的な力を及ぼすのでしょうか。どうやらそれは、証券市場と商品市場とは、似て非なるものであるからのようなのです。
第一に、証券市場にあって、金融は、企業の資金調達を助けるという重要な役割を果たします。この融通の機能なくして、市場のメカニズムは機能しませんので、金融の本領発揮ということになります。一方、商品市場においては、金融には、このような役割は期待されていません。期待されている役割があるとすれば、それは、価格変動のリスクに備えたヘッジです。つまり、商品市場では、先物取引が主要な取引内容になるのですが、現実の売買を伴わない先物取引は、容易に投機に転化してしまうのです。
第二に、証券市場は、企業価値が株価という数値で測られることはあっても、”もの”の直接的な価格形成の場ではありません。一方の商品市場では、需給のバランスに基づいて、”もの”の価格が決定されることが期待されています。もし、価格形成の場に、大量の投機資金が流入するとしますと、当然に、適正な価格形成はできなくなりますし、価格の上昇は、物価を直撃することになるのです。
第三に、証券市場では、将来性を見込んだ投資がありますので、金融は、企業を直接に育てる役割を果たします(企業と金融の利益は一致)。一方、商品市場にあっては、投機筋は、理由はともあれ”値上がり”期待によって判断します。つまり、商品市場では、企業や消費者にとって”良いニュース”である石油の増産や豊作は、金融にとっては、”悪いニュース”になるかもしれないのです。
以上のように見てみますと、証券市場と商品市場とは別ものであって、その区別をなくしたところに、今日の悲劇があるのかもしれません。しかも、商品市場における価格上昇が、企業収益の悪化と景気後退をもたらし、証券市場における株価下落を招くわけですから、これでは、悪循環による自己の利益相反も起きてしまいそうです。金融は、そろそろ、金融の原点に帰る日が来ているのではないか、と思うのです。
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