万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

政府紙幣の発行で預金が目減りする?

2009年02月08日 15時53分10秒 | 日本政治
「政府紙幣」「無利子国債」案 急浮上なぜ 議論盛り上げ政権浮揚?(産経新聞) - goo ニュース
 政府紙幣の発行で最も心配されていることは、制御不能のインフレが発生することです。それでは、インフレが発生しますと、国民生活にどのような影響が及ぶのでしょうか。

 住宅ローンや借金を抱えている人々にとりましては、インフレは、歓迎すべき現象です。何故ならば、実質的には借金の負担が減少し、返済が容易になるからです。政府紙幣発行案を支持する意見には、”これで借金がなくなる!”といった論調が見受けられます。財政赤字を抱える政府も、もちろん、インフレには賛成かもしれません。一方、長年にわたって所得の中から無理をしても貯蓄をし、入用な時に備えてきた人々はどうでしょうか。せっかく苦労して貯めてきた預金は、インフレと共に大幅に目減りしてしまいます。このため、その後の生活設計は、大きく狂うことになりましょう。インフレは、”隠れた増税”とも呼ばれており、準備金としての預金が減少すれば、家計が余力を失い、消費も冷え込むことになります。

 日本人の金融資産の多くは預貯金であり、それは、子供達の学資や老後の生活費など、先を見越した蓄えであったはずです。借金返済には有利ではありながら、貯蓄の目減りがもたらす国民生活へのマイナス影響を考えますと、インフレ容認政策には疑問をもたざるを得ないのです。

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コメント (8)
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