万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”家庭の太陽光発電”買取に潜む問題点

2009年02月25日 15時32分46秒 | 日本政治
家庭の太陽光発電、高く買い取り 電力会社に義務づけ(朝日新聞) - goo ニュース
 不景気に見舞われる中、新たな産業分野として環境技術が注目されており、太陽光発電の高値買い取りの仕組みも、製品普及を促す政策の一つと言えそうです。この政策は、一見、環境にやさしく景気対策にもなりそうなのですが、問題点がないわけではありません。

(1)太陽光発電が普及すればするほど、電力料金が上がること。
 家庭で余った電力を電力会社が買い取る義務があるとしますと、”副業”として太陽光発電設備を購入する国民は、増加することになりましょう。しかしながら、普及には成功しても、電力料金も比例して上昇しすることになります。エネルギーコストの上昇は、電力会社の経営を圧迫するとともに、他の国民の負担を高めることになりますし、産業全体にマイナス影響を与えるかもしれません。

(2)国民の間に負担の不公平が発生すること。
 現在、太陽光発電設備は、7万円の補助金を受け取れたとしても、一台230万円ほどかかると言います。一般の家庭で購入するには価格が高いため、購入できる世帯は限られております。しかも、余剰電力の売却ということですので、購入者の電力料金はゼロでありながら、先に述べたように、他の非購入者の電力料金は比例的に上昇することになります。

(3)一戸建ての家庭にしか設置できないこと
 太陽光発電設備は、一戸建ての家屋にしか設置できませんので、マンションやアパートに住む人々は、この仕組みを利用できません。

(4)太陽光発電設備の費用対効果にも疑問がること。
 小規模な家庭用太陽光発電設備の設置が、費用対効果の観点から見て、経済効率性にかなっているのか疑問なところです。また、CO2削減効果についても、製造過程での排出量とのバランスを見る必要もありそうです。

 以上に幾つかの問題点を挙げてみましたが、もし、再生可能なエネルギーを普及させることが目的ならば、より国民負担が少なく、かつ、将来性のある手法を考えるべきと思うのです。エネルギー・コストをさらに低下させ、商業ベースに乗せることができるような技術開発に投資する方が、多くの国民の賛同を得られるのではないでしょうか。 

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