万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”人権後回し”のクリントン対中外交のリスク

2009年02月22日 15時27分04秒 | アメリカ
クリントン外交 米中対話の拡大をうたったが(読売新聞) - goo ニュース
 現下の金融危機を乗り切ることを優先させたクリントン国務長官は、中国政府に対して、人権問題を持ち出すといった強い態度に出ることができなかったようです。しかしながら、対中融和外交には、将来、アメリカの立場を苦しくするリスクが伴うように思うのです。

 中国国内では、景気後退の影響で失業者が増加しており、共産党の腐敗も加わって、政府に対する不満と非難も高まり、各地で暴動も起きているようです。しかも、今年は、天安門事件から丁度20年に当たる年であり、多くの国民の脳裏に国民に対して銃口を向けた忌わしい記憶が蘇るかもしれません。もし、中国国民の多くが、秘かにアメリカの自由や民主主義に憧れを抱き、人権擁護の旗手と見なしていたとしますと、今回の”人権後回し”の態度は、アメリカに対する失望を生むかもしれないのです。

 しばしば、戦後のアメリカ外交には、国民に不人気な腐敗政権を支えてしまうという傾向がありました。もし、中国の国民が、アメリカに対して自国の政府に”ものを言う”ことを期待していたとしますと、対中融和外交は、長期的に見ますとマイナスに働く可能性があると思うのです。
 
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コメント (4)
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