万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

大規模公共事業―先端プロジェクトに限定を

2009年02月17日 15時54分44秒 | 日本政治
GDP急落、大規模公共事業など追加経済対策に着手へ(読売新聞) - goo ニュース
 ニューディール政策の影響のためにか、不況対策としてまず挙げられるのが、大規模公共事業です。しかしながら、戦後、一貫して公共事業に予算をつぎ込んできた日本国の事情を考えますと、事業の対象を厳選しませんと、後世に負の遺産を残すことになりかねないと思うのです。

 高度成長時代に実施された高速道路や新幹線の開設は、一躍日本国を経済大国に押し上げるほどの効果を発揮しました。国内の交通網が格段に効率化するとともに、流通速度も大幅にアップしたからです。ところが、一通り、産業インフラが整備されますと、公共事業に対する評価は一転し、やがて財政の無駄遣いとして非難されるようになります。結局、本来の経済政策としての意味を失い、”箱もの行政”の批判を浴びながらも、雇用政策としての意義が公共事業を正当化するにいたったのです。その結果、政府は、有利子負債となった設備の維持費に苦しむとともに、過剰感のあった建設業界のダウン・サイジングも遅れることになりました。

 日本経済の大幅な落ち込みを受けて、日本国政府は、再び大規模な公共事業の検討に入るようです。しかしながら、経済の政府への依存度を高めることが、良策であるとも思えません。もし、大規模公共事業を実施するならば、誰もが経済成長の効果を確信でき、プロジェクト終了後は、民需への転換、あるいは技術の民間移転を柔軟にできるような先端的なプロジェクトに限定すべきと考えるのです。

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