万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

政府紙幣案は時計の針を逆戻りさせる?

2009年02月13日 15時29分24秒 | 日本政治
高橋洋一東洋大教授 政府紙幣25兆円発行せよ(産経新聞) - goo ニュース
 コインの時代や金・銀本位制の時代には、希少金属の価値が通貨の価値を支えていました。しかしながら、ドル・ショックの衝撃とともに金本位制が消滅した時代では、通貨の価値を維持することはそう簡単ではありません。通貨の価値を支えるものは、何もないのですから。

 そこで、通貨価値を安定化させる手法として定着してきたのが、中央銀行の独立性の強化です。その意図は、政府による放漫財政の”つけ”を、中央銀行が”払う”ことによるインフレを防止することにあります。政府と中央銀行を制度的に分離し、中央銀行に、金融政策の政策権限を一元化することで、インフレ圧力を回避しようとしてきたのです。この歴史から考えますと、政府紙幣の発行案は、時代の流れに逆行しているようにも思われます。何故ならば、金融政策の権限を、再び政府と中央銀行で重複させようとしているからです。

 金融政策において、政府と中央銀行の二頭体制が出来上がりますと、両者の方針が一致しない場合には、通貨価値が大きく揺らぐ可能性があります。また、双方が、お互いの政策効果を打ち消してしまうこともあり得ましょう。金融政策の権限は、やはり、一元化されていた方がよいと思うのです。

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コメント (19)
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