政府紙幣発行「興味ある」=自民・菅氏(時事通信) - goo ニュース
かつては、中央銀行に独占的に通貨発行権が認められていたわけではなく、民間の銀行でも、紙幣を発行することができました。金本位制の下では、地金を保有していれば、金との交換が約束されていたため、複数の銀行が兌換紙幣を発効しても、然したる問題は発生しなかったのです。しかしながら、政府が、通貨価値を支える何らの保障もなく、政府紙幣を発行するとなりますと、これには、大きな問題が潜んでいそうです。
1)インフレ政策の宣言となること。中央銀行を経ずに、政府が直接に紙幣を発行することは、日本国が、インフレ容認政策をとることを内外に宣言することを意味します。通貨の信用力の低下は、円安を誘導するという面もありますが、円建て債券の暴落や金利の上昇を招く恐れがあります。
2)政府紙幣の流通経路が不透明であること。政府紙幣は、日銀の印刷機で刷られるとしても、それを、どのように市場に流通させるのか不明です。もし、特定の金融機関や企業に対して(あるいは、定額給付金として直接国民に配る?)、何らの債権の提供や担保もなく、政府紙幣により資金が提供されるとしますと、モラル・ハザードを起こすことにもなりますし、政治的な利権と化すかもしれません。
3)金融政策が分裂すること。政府が通貨発行権を持つようになりますと、中央銀行との間で政策上の対立や不整合が発生します。この結果、通貨の信用力は、さらに低下することになります。
管理通貨制度が一般化した今日にあって、中央銀行が通貨発行権を独占していることには、それなりの意味があります。それは、通貨価値を安定させるためには、金融政策を一本化するほうが望ましいということです。不況を理由に政府が紙幣を発行する前例をつくりますと、将来に禍根を残すのではないか、と思うのです。
*本記事につきましては、2020年10月20日に至った現在、通貨発行権に関する考え方を改めております。上記の懸念が解消される形であれば、政府紙幣の発行、あるいは、政府による通貨発行の行使は可能なのではないかと思います。
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