万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の北朝鮮非難決議反対―国連機能の停止か

2010年12月02日 15時35分42秒 | 国際政治
中国反対、北朝鮮への声明見送り ウラン濃縮めぐり国連(朝日新聞) - goo ニュース
 国連の安全保障理事会とは、国際の平和と安全の維持のために設置された機関です。いわば、国際秩序の守護者の役割を果たすのですから、拒否権を持つ常任理事国の責任は、非常任理事国とは比較にならないほど重いはずです。

 にもかかわらず、中国は、安全保障理事会の常任理事国の地位は、平和のためではなく、自己の利益のために利用すべき特権と考えているようです。あるいは、安保理の拒否権とは、中国にとっては、自国が侵略行為を行っても、安保理に侵略と認定させないための、免罪符なのかもしれません。一方的な砲撃により民間人に死傷者を出したのみならず、密かにウラン濃縮を進めている北朝鮮に対して、非難の決議一つできないならば、もはや、国連の機能は停止したに等しくなります。

 現在、国際社会が直面している危機とは、秩序の守護者のテーブルに、破壊者が座っていることです。警察のトップに、犯罪者が紛れているようなものなのです。国連には期待できない以上、国連決議なき北朝鮮リスクの除去を、真剣に検討すべき段階に入っていると思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

 
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする