万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

EUの対中武器禁輸見直し―アジアに戦火が迫る

2010年12月19日 16時03分46秒 | 国際政治
対中武器禁輸見直し要請…EU高官、加盟国に (読売新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島沖での事件以来、中国の領土的野心が白日のもとに晒され、アジアの緊張は否応なく高まりを見せています。この機に至って、EUが対中武器輸出を解禁するとしますと、その結果は、火を見るよりも明らかです。

 対中武器輸出解禁が要請されている背景には、加盟国の財政危機で経済状況が不安定化したEUの、対中輸出を増やし、経済のテコ入れにしようとする思惑があることは、容易に想像できます。一方、中国側も、最新鋭の兵器を輸入できる上に、ノーベル平和賞や人権問題で冷却したヨーロッパ諸国との関係改善にも役立つものとして、もろ手を挙げて歓迎の意向を示すことでしょう。その一方で、中国と領土や安全保障をめぐり対立する諸国は、戦争の勃発を想定せざるを得なくなります。中国は、自国の主張を他国に押し付けるために、躊躇なく、武力行使を選択するでしょうから。最も危険な国に、最新鋭の兵器が渡ることは、戦争への導火線となります。

 EUもまた、国際社会の平和に責任を負っているはずです。もし、EUが対中武器輸出を解除するとしますと、日本国を含めアジアの安定を願う多くの国々が、落胆するのではないでしょうか。

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