万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自民党日米安保改定案の論点

2010年12月31日 15時22分11秒 | 国際政治
自民、日米安保改定を検討 太平洋で共同防衛(産経新聞) - goo ニュース
 自民党は、集団的自衛権の発動を前提とし、両国の双務性を高める方向で日米安保条約の改定を検討していると報じられています。中国の軍事的な台頭を受け、時代に合った安全保障体制の構築が急がれており、この点、安保改正も、当然の政策課題です。

 自民党案に懸念があるとしますと、第一に、日本国側の在日米軍基地の提供義務を条約本体から外し、駐留協定に切り替えることです。フィリピンの前例があるように、米軍撤退は、中国の勢力拡大を促す結果を招くことは確かなことです。基地提供の協定化は、米軍撤退を容易にする措置とも考えられますので、アメリカ側との協議を通して、防衛力のスポットや不安定化を防ぐための十分な検討が必要となります。第二に、対象を”太平洋”に限定していることです。中国包囲網の形成を考慮しますと、”太平洋”に限ることが適切であるかは疑問なところです。

 戦後、長らく平和を享受してきた我が国も、安全保障問題に真剣に取り組む時期に差しかかっております。来年こそは、今年見舞われた苦難と混乱を克服し、将来に向けて新たなる一歩をしるす年になるよう、年の終りに願う次第です。


 本年は、拙い本ブログの記事をお読みくださいまして、ありがとうございました。皆様方が、良いお年をお迎えになられますよう、心よりお祈り申し上げます。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする