万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ノーベル平和賞授賞式欠席国の国民は政府に異議を唱えないのか

2010年12月10日 12時01分25秒 | 国際政治
平和賞授賞式を欠席のセルビアにEUが警告(読売新聞) - goo ニュース
 中国の圧力に屈して、劉暁波氏のノーベル平和賞授賞式の欠席を決めた諸国。これらの諸国の国民は、政府の方針に素直に納得しているのでしょうか。

 劉氏が求めた民主化や権力分立の否定とは、欠席国の国民にとりましては、自国の政府が、国民の基本的な自由と権利を蔑にし、国民の政治参加を否定することに、半ば同意したことを意味します。国民は、政府から重大な挑戦を受けたことになるのですから、国民の多くは、自国の政府に対して不信感を抱いてもおかしくはありません。対中関係に配慮して欠席を決定したセルビアでも、国内の人権団体などから、政府の決定に批判の声があがっているそうです。

 授賞式欠席の理由は、中国への同調ばかりではないかもしれませんが、国民は、政府の決定が、自らにも跳ね返ってくるリスクに気づくべきと思うのです。もし、日本国政府が欠席を表明したとしましたら、内閣支持率は、限りなく0%に近づいたはずです。ノーベル賞授賞式欠席に反対の世論が起きてこそ、成熟した民主主義国家の証しと言えるのではないでしょうか。

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コメント (2)
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