万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”大衆路線”に転換する中国-尖閣より環境対策を

2013年03月04日 15時49分52秒 | アジア
中国・政協会議が開幕…党の大衆路線支持の方針(読売新聞) - goo ニュース
 嘘か真か、中国は、国民の意見を大事にする”大衆路線”に転換するそうです。昨日、北京で開催された国政助言機関・人民政治協商会議の第12期全国委員会第1回会議でも、賈慶林政協主席が、 習近平氏の号令の下で推進している大衆路線を支持していく方針を示したと報じられています。

 中国のことですから、”大衆路線”もまた、掛け声倒れとなり、現実は、その逆となる可能性の方が高そうです。つい先日も、習近平氏が、”国民の批判を歓迎する”と述べたのを受けて、習氏の行動を偽善的な”やらせ”と批判した女性が、即座に身柄を拘束されるという事件が発生しています。こうした前例があるだけに、”大衆路線”もまた、迂闊に信じることは禁物です。中国政府が、”大衆”を軽んじていることは、環境問題でも明白です。中国国民は、”殺人スモッグ”とも言える深刻な大気汚染に直面しておりますが、政府には、本気で解決する姿勢が見られないのです。見るに見かねて、日本国政府も、2.5PM対策について中国政府に技術協力を申し入れたのですが、難色を示したと伝わります。おそらく、日本の協力で解決したとなりますと、中国政府から人心が離れ、親日派が増えることを警戒したのでしょう。あるいは、尖閣での軍事作戦を念頭に、国民の反日感情を高いレベルで維持したかったのかもしれません。何れにしましても、国民第一であるならば、頭を下げたくない日本国に頼み込んででも、国民の命と健康を救うのが、為政者としてあるべき態度です。

 尖閣諸島で軍事衝突を演出しても、国民にとってより身に迫った問題である環境汚染を放置したのでは、中国国民の共産党一党独裁体制への批判が解消されるはずもありません。中国政府は、”大衆路線”への転換を国民に本気で信じてもらうためには、環境問題の解決にこそ、最優先に取り組まなければならないと思うのです。

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コメント (2)
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