万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

集団訴訟-原発事故と震災被害の境界線とは

2013年03月11日 15時27分01秒 | 日本政治
国と東電相手に集団提訴=原発避難者ら1650人―請求額53億円以上【震災2年】(時事通信) - goo ニュース
 本日、運命の日となった東日本大震災発生から、2年目の3月11日を迎えました。震災で亡くなられた方々の御霊に、心より哀悼の誠を捧げたいと思います。

 東日本大震災は、地震と大津波による国土の破壊のみならず、福島第一原発の事故をも引き起こしました。本日は、震災関連のニュースが多く報じられており、原発事故に関しても、避難生活を余儀なくされている周辺市町村の1650人の住民の方々が、国と東電を相手取って、集団訴訟を起こすと報じられております。請求内容は、原状回復と慰謝料ということのようですが、この提訴には、いささか考え込んでしまう部分もあるのです。請求が、原状回復と慰謝料である背景には、別途、原発の損害賠償がなされることがあるのでしょう。しかしながら、不自由な避難生活を送っているのは、福島の原発事故被害者だけではありません。宮城や岩手といった東北地方の被災地でも、未だに多くの方々が、家を失った状態で仮設住宅で暮らしております。一方、原発事故の場合には、一時的に避難を強いられてはいるとはいえ、帰宅する家がある人々も少なくないのです。こうした場合、原発事故の被災者だけを、特別な被害者と認定するべきなのでしょうか。

 自然災害による被害は、基本的には誰の責任でもありませんので、それ故に、国民が助け合って被災者を支援してゆく必要があります。判決の行方は判りませんが、原発事故集団訴訟には、原発事故と震災被害の境界線、そして、救済の公平性について考える余地があるように思えるのです。

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コメント (4)
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