万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本の金融機関がシャープの救済を

2013年03月07日 15時27分14秒 | 日本経済
サムスン、シャープに100億円出資へ 業務提携も打診(朝日新聞) - goo ニュース
 昨日、液晶部門でトップ企業の一角を占めいていたシャープが、資金繰りの悪化から、韓国のサムスンから100億円の出資を受けるとの残念なニュースが伝わりました。早くもサムスンへの技術流出が懸念されていますが、シャープの救済に乗り出す日本の金融機関は存在していないのでしょうか。

 出資額としては100億であり、株式保有率も3%に過ぎませんが、昨年来、日本国では反韓感情が高まっており、サムスンとの提携は、日本人の消費者からしますと決して歓迎一色ではありません(国内市場ではマイナス効果…)。元を糺せば、韓国のウォン安政策に追い詰められたことが、シャープの経営が傾く原因の一つでもあります。ようやく超円高も是正されてきた矢先ですので、もうしばらく我慢すれば、持ち直すことも可能であったはずです。そして、この件で、もう一つ不思議なことは、日銀が金融緩和の方針を表明しているにも拘わらず、日本の金融機関が、シャープの救済に動かないことです。本日のニュースでは、もう一段の金融緩和は見送られたそうですが、日本の金融機関の貸出能力は、それほど低下していないはずです。むしろ、メガバンクは、ソフトバンクの米スプリント社買収の件では、桁違いの買収資金の融資をあっさりと決定していました。アベノミクスの成否は、国内投資をも増やすことにもかかっていますので、シャープが韓国企業の出資に頼らざるを得ない状況は、望ましいこととは思えないのです。それとも、融資審査の結果、シャープには将来性は全く見込めない、ということなのでしょうか(あるいは、一般の人々が知らない特別な事情がある?)。

 サムスンもまた、ウォン高や特許訴訟の行方によっては、業績が悪化する可能性もあります。日本の金融機関が、日本企業に目を向けないとなりますと、日本経済の復活は、難しくなるのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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