万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

全世界の外来文化財の所有権を不安定化する韓国

2013年03月06日 15時41分02秒 | 国際政治
 先日、韓国の地裁が、日本国の対馬から盗まれた仏像の返還を、事実上拒否する仮決定を下したことは、日本国の外来文化財のみならず、世界中の外来文化財の所有権を不安定化しかねないと思うのです。何故ならば、700年前であろうとも、一切の時間の経過は考慮せず、外来文化財の所有権は、その製造国、あるいは、最初の所有者にあると宣言したことになるのですから。

 ”盗んでいないことが証明できなければ、現在の保有者の所有権を認めない”とする論理を、全世界の外来文化財に適用するとしますと、どのようなことが起きるのでしょうか。日本国内だけを見ましても、古墳からも、前漢鏡など、外来の品が出土することがあり、また、王朝交代の争乱などで中国本土で逸失した書籍や工芸品なども日本国では丁寧に保存されています。近世には、戦国大名や茶人などが、争うように唐物ものや高麗物の茶器を収集していましたので、日本国の博物館や美術館では、多くの舶来品が保管されているのです。。寺社仏閣を合わせますと、その数は、さらに膨大になります。これらの品は、交易でもたらされたと推測されますが、法的に証明することは、至難の業です。海外を見ましても、イギリスの大英博物館やフランスのルーブル美術館…など、名だたる博物館には、古代文明の遺物の膨大なコレクションがあり、世界各国から訪れる観光客は後を断ちません。外国由来の文化財は、どの国にもありますので、仮に、韓国の論理が通用するとすれば、全世界の外来文化財の所有権は、一気に不安定化するのです(移入した時期が古ければ古いほど、正当に入手した証明が難しくなるので、現在の保有者の所有権は否定されてしまう…)。

 恐ろしいことに、韓国は、地裁の仮決定を通して、文化財の所有権の移転(日本⇒韓国)を一方的に決めたのであり、この行為は、合法性を纏った国家ぐるみの”窃盗”に他なりません(他の全ての韓国由来の文化財にも及ぶ…)。そしてそれは、文化財の所有権に関する国際秩序を根底から破壊する行為でもあるのです。ユネスコ条約もあるのですから、日本国政府は、国際秩序を守るためにも、韓国に対して仏像の返還を強く迫るべきと思うのです。

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コメント (6)
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