万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

東大推薦入試の盲点-推薦状をめぐる腐敗

2013年03月16日 15時43分49秒 | 日本政治
数時間の面接も…東大推薦入試「多様な人材を」(読売新聞) - goo ニュース
 先日、東大が大学改革の一環として、推薦入試制度を導入する方針を明らかにしました。この改革案、ネット上では、否定的な意見が多数を占めているそうです。

 東大は、○○学オリンピックの入賞者といった多様な人材を集めることが目的と説明しています。最近では、東大卒で就職しても”暗記秀才型では使い物にならない”との企業一般の評価があるとも報じられており、東大としても、こうした批判に応える必要性を痛感していたのでしょう。しかしながら、幾つかの点で、この制度には問題があると思うのです。その一つが、推薦入試の応募に必要とされる校長の推薦状をめぐる問題です。推薦入試には、本人の実力の他に、推薦状という別のファクターが働きます。スポーツ推薦については、大阪市の桜宮高校で、バスケットボール部の生徒の自殺事件が起きたばかりですが、推薦枠を獲得するために、校内では、見えないところで暗闘が繰り広げられる可能性もあります。それは、賄賂合戦であるかもしれませんし、桜宮高校事件のように、生徒が、推薦を得るために何らかの不条理を強いらることかもしれません。あるいは、高評価の内申書を得たいがために、生徒達が、自らを偽って教師陣に媚びたり、推薦枠を取るための利己的な理由から国際ボランティアに参加することもあるでしょう(欺瞞と偽善…)。また、高校の校長の間でも、自らが書いた推薦状の効果が上がるように、大学側の担当者に対して裏からの働き掛けを試みるかもしれません(受験生の親…が大学側に直接に賄賂や便宜を提供する可能性も…)。

 受験テクニックに長けているだけの東大生には確かに問題はありますが、推薦入試には、公平性と透明性を確保しませんと、悪しき腐敗の温床ともなります(中国・韓国化…)。近年では、一般の大学において、学力低下が著しいことから推薦入学の見直しが進んできているだけに、東大の改革は、どこか肝心なところで、何かが”ずれ”ているように思えるのです。

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コメント (4)
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