万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

WWⅡの戦後処理の失敗が次の戦争を招く

2013年03月14日 15時27分05秒 | 国際政治
自維み、9条改正を主張=衆院憲法審も再開(時事通信) - goo ニュース
 第一次世界大戦は、サラエボの一発の銃声に始まりました。セルビアの一青年が放った銃弾が、全世界を戦禍に陥れたのですが、戦争が終わると、その全責任は、敗戦国となったドイツにおよそ帰せられます。ドイツが支払うべき賠償は、天文学的な額であったのですから(軍事的にも制約を課せられた…)。

 今日では、ドイツに戦争責任を押し付けた第一次世界大戦の戦後処理は、誤っていたとする評価が一般的です。何故ならば、不公平な戦後処理が、ヒトラー政権誕生の導火線となり、第二次世界大戦の遠因となったからです。それでは、第二次世界大戦の戦後処理は適切であったのでしょうか。WWⅡはポーランド侵攻に始まりますので(英仏はポーランドと同盟関係にあった…)、ナチス・ドイツの侵略責任は認めることができます。しかしながら、ドイツと組んでポーランド侵攻に加わったソ連の侵略責任は、ソ連邦が戦勝国となったことで、不問に付されました。そして、日米開戦の過程をつぶさに観察すると、ヨーロッパ戦の開戦に匹敵する程の必然的な要因は見当たらないのです(両国ともに、ソ連邦の工作活動を受けていた…)。しかしながら、日本国が敗北すると、全責任は、東京裁判を通して、”侵略戦争”を遂行した日本国に負わされます。以後、戦勝国の歴史観は、今日に至るまで、いたるところで日本国を呪縛してきたのです。憲法第9条然り、中国、韓国、北朝鮮の日本糾弾然り…です。戦勝国が全面的に正しいとする歴史観は、ソ連邦を盟主とする共産主義勢力が飛躍的に拡大することに貢献しましたし、全世界は、超大国の均衡の下でかろうじて平和を維持するに過ぎなくなりました。そして、ソ連邦が崩壊した後も、アジアでは、先の戦争における日本国の”侵略”を根拠に、共産主義の看板を掲げる中国が、戦争を仕掛けようと虎視眈々と狙っているのです。

 過去の歴史の反省を、敗戦国のみに押し付けますと、結局、さらなる災難を引き起こすものです。このように考えますと、WWⅡにおける”勝者の正義”を、もう一度、歴史の事実に照らしてみることは、次なる戦争を防止し、かつ、法の支配と公平な秩序を国際社会に確立するためにも、必要な作業なのではないかと思うのです。 

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コメント (6)
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