万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国には自国の敗戦シナリオはないのか

2013年03月18日 15時43分15秒 | アジア
習近平氏「強国路線」打ち出す=「国家主権守り抜く」―主席就任後初の演説・中国(時事通信) - goo ニュース
 日本国では、明治維新に際して維新側の官軍が幕府側に勝利したことから、”勝てば官軍”という言葉が広がりました。しばしばこの言葉、戦争では勝者側に”正義”がある、とする意味で使われています。

 明治維新に対する評価は、欧米諸国に植民地化されることなく、近代国家を建設したことにありますので、この観点から見ますと、勝者である官軍は、日本国を救ったとする見方ができます。ですから、必ずしも”官軍には正義がなかった”とは言い切れないのですが、今でも、戦争で勝った側が無条件に”善”であり、負けた側は無条件に”悪”である、とする見方を支持する国や人も少なくありません。中国や韓国は、その最たるもので、第二次世界大戦で敗戦国となった日本国を、未来永劫にわたって”戦争犯罪国”の立場に押し込めようとしています。しかしながら、両国は、仮に、枢軸国側が戦勝国となった場合にも、同じように、その結果を受け入れたのでしょうか。日本国に併合されていた韓国では、戦争当時、日本軍の初期の快進撃に、日本人以上に狂喜していたそうです。中国は、第二次世界大戦では、かろうじて戦勝国の立場となりましたが、それでも自国が植民地化された歴史に対する負い目から、今になって、”強国路線”を打ち出しています。もし、勝った方に正義がある、とする論理を認めるならば、自国の植民地化に対して不満はないはずなのです。そして将来において戦争を起こしたものの、中国側が敗北した場合には、再度、戦勝国の支配に甘んじるのでしょうか。

 戦争に勝てば、”正義”は自らのもの、とする考え方をしている限り、結局、中国は、歴史のルーティーンから抜け出ることはできません。そして、現実の国際社会は、中国の認識を越えて、主権平等や民族自決の原則が確立し、侵略行為もまた、国際法に違反する行為と認識されています。法の支配に国際社会が踏み出している現実を無視しますと、中国自身が、自らが信奉する論理で、過去の屈辱をもう一度味わうことになります。得てして”強国”とは、自己に都合のよい論理を振りかざし、自分自身が敗者となるシナリオについては考慮しないものです。

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コメント (2)
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