万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

陰謀論渦巻く仁川アジア大会日本選手窃盗事件―証言ではなく物的証拠で判断を

2014年11月07日 11時16分05秒 | アジア
冨田 再捜査への頼みは日本の国内世論 担当弁護士「日本に風が吹けば」(デイリースポーツ) - goo ニュース
 昨日、仁川アジア大会でカメラの窃盗で略式起訴された競泳の冨田選手が記者会見を開き、自らの無実を訴えました。この事件、陰謀論が渦巻いているわけですが、韓国警察、冨田選手、並びに、JOCの内、誰かが嘘を吐いていることだけは確かなことです(カメラの所有者も加わるかもしれない…)。

 陰謀論は、凡そ以下の二つに分かれます。第一の陰謀は、仁川アジア大会での不正行為で高まった韓国批判を日本国に逸らすため、あるいは、競泳における日本選手に対する妨害行為として、韓国側が、日本選手を狙って窃盗事件をでっち上げた、というものです。この場合、冨田選手は無実であり、犠牲者でもあります。もう一つの陰謀論は、韓国と冨田選手による”共演”であり、日本選手が”冤罪”を訴えた後で、動かぬ証拠を韓国側が公開することで日本国のイメージ・ダウンを狙う、とするものです。慰安婦問題では日本側は韓国側の主張を否定しておりますが、異議を申し立てた冨田選手の窃盗が確定すれば、慰安婦問題においても類推が働くとする計算です。一方、日本側から陰謀を仕掛けたとする説は見られず、仮に、冨田選手が実際にカメラ、しかも、レンズを外した本体部分だけを盗み、かつ、無実を主張しているとしますと、本人の盗癖、並びに、虚言癖(どちらも確認されていない…)でしか説明することができません(あるいは、韓国側の意向を受けた弁護士の策略?*訂正:冨田選手の弁護士は元外事警察なそうです)。果たして、この事件の真実は、何処にあるのでしょうか。

 今のところ、韓国警察とJOCの見解は凡そ一致しておりますが、証言に著しい食い違いがあるのですから、証言のみで事実認定ができないことは明らかです。実際に再審となれば、冨田選手の窃盗場面が映っているとされる映像、並びに、レンズ部分にも残されているはずの冨田選手の指紋の検出等が、重要な物的証拠となることでしょう(物的証拠なしでは日本国の世論も納得しない…)。当事件が、証言というものが当にならず、物的証拠こそが事実認定にとって重要であるとする認識を韓国側にもたらすならば、たとえ第二の陰謀があったとしても、証言のみに依拠する慰安婦問題においては、逆に韓国にとりまして不利になるのではないかと思うのです。

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コメント (8)
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