万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

チンパンジーは何故進化しなかったのか?

2014年11月03日 15時44分36秒 | 社会
人間は元来残忍なのか―祖先のチンパンジーにみる本性(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版) - goo ニュース
 最近、チンパンジーに関する研究が進むにつれ、その残忍性と人間性とのかかわりが議論されるようになりました。集団で仲間を殺害するというチンパンジーの性質は、800万年前に枝分かれした人間とチンパンジーとの共通の祖先から受け継いだものらしいのです。

 チンパンジーと人間とは遺伝子が99%一致しているそうですが、チンパンジーよりはるかに平和的に行動するボノボも一致率は同じですので、即、人間性に絶望することはないかもしれません。両者の性質は人間の行動を説明するかもしれず、人間に最も近い猿の研究は、将来、人間というものをも性質を解き明かす一助となることが期待されています。その際に注目すべきは、”何故、彼らは進化しなかったのか”という”不進化要因”なのではないかと思うのです。人間は、二本足で直立歩行し、チンパンジーやボノボよりも高い知能を獲得し、言語能力を発達させ、遂に、地球上において文化文明を築いた唯一の生物へと進化しました。この事実は、800万年の歩みの中で、高度な生物に進化した人間と然したる進化を示さなかった他の大型類人猿とでは、進化の方向を定める要因に何か決定的な違いがあったことを示唆しています。言い換えますと、チンパンジーがチンパンジーのままである理由にこそ、人類進化の要因、そして、他の大型類人猿とを隔てる”人間性”を突き止める鍵が隠されていることになります。

 もしかしますと、チンパンジーが進化を停滞させた理由とは、その残忍性と独占行動にあるのかもしれません(遺伝子の均質化?)。そしてボノボもまた、何らかの要因が働いてボノボのままであったのでしょう。人間がチンパンジーやボノボへと退化しないためにも、”不進化要因”の探求は、人類にとって重要な課題なのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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