万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日中首脳会談では法の支配の提起を

2014年11月09日 15時40分18秒 | アジア
首相3か国歴訪へ…日中首脳の信頼構築が焦点(読売新聞) - goo ニュース
 日中首脳会談を目前にして公表された「日中関係の改善に向けた話し合い」。日本側の譲歩の色が濃く、中国側の意向が強く反映された内容となっております。

 特に懸念すべきは、「日中関係の改善に向けた話し合い」の文章を丁寧に読んでみましても、”国際法”や”法の支配”と言う言葉が見当たらないことです。日本国政府は、これまでも、国際社会において法の支配の重要性を訴え、国際法に則った紛争の解決を目指してきました。安全保障に対する最大の脅威であり、かつ、無法国家である中国に対してこそ、この点を強調しなければならないはずなのですが、合意文書には、最重要であるべき法の支配が抜け落ちているのです。おそらく、国際法を破ることで覇権を追求してきた中国が、自らの行動を縛ることになる”法”という文字に忌避したのでしょう(中国式の命令としての”法”ではなく、一般的なルールとしての”法”…)。しかしながら、日本国の最大の武器は、”法”であるはずです。最も効果的な”武器”を捨てた、あるいは、捨てさせられたのでは、後は、中国の言いなりになるばかりです。

 もっとも、合意文書の第一点で遵守すべきと述べられている”日中間の四つの基本文書”には、「国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力叉は武力による威嚇に訴えないことを確認する(日中共同声明第6条後段)」との一文が見られます。この条文に従えば、日中首脳会談において、平和的解決方法の一つとして、尖閣諸島に関する司法解決を中国側に求めることもできるはずです(中国側からのICJへの提訴の要請…)。安倍首相には、”人の支配”を目指す中国のペースに嵌ることなく、法の支配を尊重する姿勢を貫いていただきたいと思うのです。

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コメント (2)
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