万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

「小沢氏スキャンダル」から中国が学ぶこと

2010年01月16日 15時31分34秒 | アジア
「小沢氏スキャンダル」と速報=新華社(時事通信) - goo ニュース
 600人にも上る訪中団を率いて、意気揚々と中国に乗り込んだ民主党の小沢幹事長。今では、昔日の面影もなくなりましたが、中国もまた、この事件から、多くのことを学ぶべきと思うのです。

(1)日本国民は属国化を許さない
 民主党の大訪中団は朝貢外交とも揶揄され、日本国内では、中国による属国化を危ぶむ声が広がることになりました。このことは、日本国民の大多数が、自国が中国の属国となることを望んでいないことの証しでもあります。もし、日本国に言論の自由がなければ、訪中団に対する反対意見や批判は封じられたことでしょう。

(2)権力分立は腐敗した権力者を排除する
 中国の目下の課題は、共産党一党独裁体制における政治腐敗とされています。日本国には、権力を握っている政治家といえども、汚職や不正行為を行った場合には、警察や検察によって逮捕・起訴されます。つまり、権力分立は、政治腐敗を排除する機能を果たすのです。

(3)多党制は健全な批判精神を育てる
 民主党は、野党であった頃、与党の自民党に対して鋭く”政治とお金”の問題を追及していました。今では攻守が交代し、野党となった自民党から逆に手厳しく追求される立場となりました。政治の健全性を保つためには、一党独裁よりも、対抗勢力があったほうがはるかに効果的です。

 中国政府は、「小沢氏スキャンダル」から学ぶべきこととは、自由主義国の精神であり、また、健全性を保つための統治制度であると思うのです。政治家の悪事は許されないことを内外に示すためにも、早期の小沢氏の逮捕・起訴を望むばかりです。

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インド洋給油活動終結―日米同盟は機能するのか

2010年01月15日 15時28分26秒 | 日本政治
海自艦に撤収命令、インド洋給油活動終結へ(読売新聞) - goo ニュース
 防衛政策や安全保障政策の領域では、前もって政策を決めておくことは困難なものです。いつ何時、何が起こるか分からず、常に状況の変化に合わせて臨機応変に対応しなければ、自国の安全を守ることができないからです。

 民主党政権は、迷走の果てに、結局、インド洋給油活動を終結することにしました。その一方で、アメリカの民主党オバマ政権はアフガニスタンへの増派を決断し、テロとの闘いに断固とした決意を見せています。さらに、米ノースウェスト航空機爆破未遂事件に端を発したイエメン情勢が緊迫化していることを考慮すれば、今後、インド洋を含めた地域での米軍の活動は活発化することさえ予測されるのです。北沢防衛相は、「需要が少なくなってきたことで、任務が終了しつつある気がする」と述べたと報じられていますが、実際には、その逆となるかもしれません。

 そもそも、国際情勢の変化に晒される防衛や安全保障政策について、マニフェストに記載することが適切であるのかは疑わしく、たとえ記載したとしても、修正が許される分野なのではないかと思うのです。杓子定規にマニフェストを絶対視しますと、日米同盟は、いざという時に、機能しなくなるのではないでしょうか。


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民団の選挙協力―外国人の力を借りた政権交代?

2010年01月14日 17時41分10秒 | 日本政治
 外国人参政権に関して、民主党の赤松議員が、法案の成立の見返りに、先の衆議院選挙において、在日韓国人の組織である民団から選挙運動の協力を受けたむねの発言を行ったと報じられています。もしこれが事実であるならば、公職選挙法違反になるのではないでしょうか。

 民主主義国家では、選挙の過程で重大な違反行為がありますと、選挙結果の正当性が疑われます。そもそも、公職選挙法は、憲法が、参政権を国民に与えているため、国民を対象として制定されています(以前の記事で、第137条は、選挙権および被選挙権のない者の選挙活動を禁じていると書いたのですが、これは、選挙犯罪によってこれらの権利を停止された者についての規定でした。お詫び申し上げます)。もし、外国人が選挙運動に参加できるとなりますと、日本国の選挙に外国人が干渉し、国民の選挙権を不当に侵害することになります。選挙権も被選挙権もないのに、選挙運動にだけは参加できるということは、果たして許されるのでしょうか。

 傲慢な小沢氏のことですから、国民の多数が反対しても、マスコミ操作で世論の誘導を行うか、あるいは、手段を選ばず、国会において強行採決に持ち込む可能性もあります。外国人の力を借りた政権交代に正当性があるとは、到底思えないのです。

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中国―”共産主義市場”の限界か

2010年01月13日 15時34分41秒 | アジア
米グーグル、昨年のサイバー攻撃で中国事業からの撤退検討(トムソンロイター) - goo ニュース
 統制経済から改革開放路線へと大きく政策を転換し、急激な経済成長を遂げた中国。21世紀は中国の時代と持て囃され、自由主義国との政治的な価値観の違いは、もはや意味はないとの見方もありましたが、果たして、その通りなのでしょうか。

 共産主義思想とは、政治・経済一元論であり、経済が政治を決定すると見なしています。この論理に従うならば、経済の自由化は、政治の自由化をももたらし、消費者と同じく、国民の一人一人に決定権を認めてもよさそうなものですが、実際には、政治の民主化は遅々として進んでいません。その理由は、いくつか考えられるのですが、もしかしますと、中国の”市場主義”の究極的な目的は、やはり政治、つまり覇権の確立と体制の維持なのではないかと思うのです。中国が自由貿易体制に参加する目的は、富や先端技術を吸収し、それらを国家戦略に役立てることにあって、国際経済における相互の繁栄も、国民に権利や自由を認めることも望んでいないと見られるのです。

 グーグル社に対する組織的なサイバー攻撃には、おそらく中国政府も関わっているのでしょう。中国の目を見張るような経済成長の裏側に、準備周到で陰湿な国家戦略が潜んでおり、”共産主義市場”には限界があることに、自由主義諸国の人々は気付くべきと思うのです。

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外国人参政権法案―正気の沙汰とは思えない

2010年01月12日 15時24分43秒 | 日本政治
外国人参政権法案 政府、通常国会提出へ 反対根強く調整難航も(産経新聞) - goo ニュース
 民主党政権は、マニフェストに記載せず、しかも憲法違反とされる外国人参政権法案を、次期通常国家に提出する予定とのことです。この法案、あまりに杜撰であり、かつ、欺瞞と危険に満ちていると思うのです。問題点を挙げればきりがありませんが、まずは、本法案について、マスコミなどで流されている誤った情報について指摘しておきたいと思います。

(1)外国人への地方参政権付与は時代の流れは誤り
 しばしば先例として紹介されているEUでは、欧州市民権を付与されている加盟国の国民に限定して、地方参政権を認めています。EUの加盟条件には、民主主義、法の支配、基本的な自由と権利の尊重など、政治的な価値の共有が求められていますので、共産主義国家といった体制の異なる国の国民が、地方参政権を行使することはありません。特に、テロ事件や社会的摩擦が深刻化した以降は、どの国も、外国人への参政権付与には慎重になっています。移民を数多く受けれてきたアメリカでさえ、外国人参政権は認めていません。

(2)地方自治体のレベルの議論さえしていない。
 また、地方参政権といってもレベルがあり、例えば、フランスで認められているレベルは、最も小さな自治体の参政権です。日本国では、地方を市町村から都道府県までの全ての地方自治体の参政権を想定しており、対象の議論さえなされていません。

(3)諸外国の永住外国人の資格要件は厳しい
 永住外国人となる資格は、諸外国では日本国よりはるかに厳しく、財産や納税額など一定の要件を満たさなくてはなりません。また、相互主義と言われる韓国の地方参政権にも、こうした厳しい資格が設けられており、該当者は数えるぐらいと言います。お隣の韓国では認めている、という言い方は、正確ではありません。

(4)在日韓国人は圧力団体
 本法案の根拠とされているのは、”合憲判決”の一人の裁判官の傍論であり、永住外国人は、”日本人と変わらない社会生活を営んでいる”と述べたと言います。しかしながら、永住外国人には、本国の対人主権が及んでおり、本国政府の指令により投票を行う可能性があります。かつて、アメリカの大統領選挙において、韓国政府が、韓国系アメリカ人に対して特定の候補者に投票するよう指示したことが問題となりました。また、民族団体である民団を結成し、政治活動を行ってきたことも事実であり、竹島問題や教科書問題など、不当な圧力を受ける可能性があります。

(5)外国人の政治上の区別は仕方ない
 どの国の人々も、外国人に支配されたくはないものです。もし、外国人差別の撤廃を理由として、参政権に関する区別を完全になくすとしますと、外国人による支配を防ぐことはできなくなります。参政権は、権力の行使と結び付いているからです。しかも、本国がバックに控えて民族団体を支援し、活動資金も提供するとなりますと、重大な事態を招く恐れがあります。こうした事態に至りますと、国民主権にも、民族自決の原則にも反し、属国化されるかもしれません。あるいは、日本国の内部に、外国人自治区が誕生する可能性も否定しきれません。

 この法案については、まだまだ数え切れないほどの問題点があり、今後の地方分権との関係も明らかにされていません(将来、大幅に地方分権するとなると、地方の決定権はより国民生活にとって重要になる・・・)。政権交代してから一年もたたずして、こうした欠陥だらけの重要法案を提出するとは、到底、正気の沙汰とは思えないのです。

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小沢氏不問では国家の信頼性が失墜する

2010年01月11日 15時28分15秒 | 日本政治
05年4億も「小沢先生から」…石川議員供述(読売新聞) - goo ニュース
 陸山会とは、民主党の小沢幹事長の「政治資金規正法」のいう資金管理団体であり、最高責任者が小沢氏本人であることは、国民の誰もが知っています。にもかかわらず、小沢氏が不問に付される、ということになりますと、民主党政権のみならず、国家に対する国民の信頼が、失墜するのではないかと思うのです。

 小沢氏については、西松建設事件や違法な土地購入のみならず、政党助成金に関する疑惑も取り沙汰されています。現代国家では、こうした政治家の不正行為や権力濫用を想定するからこそ(”権力は必ず腐敗する・・・”)、警察や検察といった独立的な行政機関を設け、裁判所に対しても厳格に独立性を保障しているのです。このシステムが円滑に働けば、政治腐敗は速やかに排除されることになります(一種の安全装置・・・)。その一方で、不正を働いた政治家が逮捕されないとしますと、それは、この機能が働いていないことを意味し、国家の組織そのものの機能不全、あるいは、崩壊を露呈したことになります。

 小沢氏をめぐる事件は、政治腐敗の問題やスキャンダルに留まらず、日本国の制度の健全性が問われる問題でもあります。民主党政権は、新しい政治を訴えて政権与党となりましたが、腐敗排除のメカニズムを停止されるとしますと、それは時代の逆コースを行くことになるのではないのではないかと思うのです。

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日EU刑事共助協定―代理処罰の規定を加えては?

2010年01月10日 17時59分05秒 | ヨーロッパ
 先日、日本とEUとの間で調印された刑事共助協定に、死刑判決の怖れがある場合、事実上、EU側のみ捜査協力を拒否できるとする規定が盛り込まれていたため、条約の不平等性や治安上の懸念が指摘されていました。この問題を解決するためには、EU側の捜査協力の拒否権を認める代わりに、代理処罰を求めてはどうかと思うのです。

 日EU刑事共助協定の場合、もし、修正なく批准されるとなりますと、EU諸国が捜査を拒否すれば、重罪事件の容疑者は、どの国からも刑罰を科せられることなく、逃げおおせることができます。これでは、あまりに容疑者に有利であり、正義に反します。最近銀座で発生した香港系中国人による時計店の窃盗事件に関して、日本国政府は、犯人引き渡し条約がないため、香港行政当局に代理処罰を求めたというニュースが報じられていましたが、この方法を共助協定にも取り入れれば、犯人を捜査協力を拒否したEU諸国の責任の下で処罰することができます。

 刑事共助協定が、死刑相当の凶悪犯の逃げ道となってはならず、ぜひ、日EU間で、この問題について、条約の修正交渉を行っていただきたいと思うのです。

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ダブル・スタンダードがもたらす貿易不均衡

2010年01月09日 15時38分10秒 | 国際経済
菅氏、「円安誘導」過去にも=財務相の為替発言、問題に(時事通信) - goo ニュース
 管財務相の円安誘導発言は、政府の市場介入の是非をめぐる議論を招くことになりましたが、この問題の核心は、対外通貨政策に関するダブル・スタンダードにあるのではないかと思うのです。

 不思議なことに、対外通貨政策における鳩山首相の立場は、グローバル市場主義や小泉路線を公然と批判しながら、政府による市場介入や規制を一切排除しようとする”自由放任主義”に近いようです。その一方で、首相が全面的に政府の対外通貨政策の権限を否定しているのか、と言うとそうではなく、中国政府による戦略的な元安政策に対して積極的に是正を求めていないことからも、首相のダブル・スタンダードが伺えます。つまり、自国に対しては、政策権限に縛りをかける一方で、中国や他の諸国に対しては、輸出志向の戦略的な対外通貨政策を容認しているのです。

 こうしたダブル・スタンダードを放置しますと、戦略的に為替操作を行った国が、圧倒的な輸出競争力を獲得し、国際貿易の不均衡状態は深まる一方です。競争条件が等しくない貿易はフェアではありませんので、日本国政府は、G20といった国際会議の場で、対外通貨政策におけるルール作りを提起すべきと思うのです。
 
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派遣村の人々の調査・分析が急務

2010年01月08日 13時08分07秒 | 社会
派遣村 所在不明200人 就活費2万円支給後、続出(産経新聞) - goo ニュース
 お正月を迎えるというのに、職もなく、帰る家もなく、また、食事にも事欠く人々に救いの手を差し伸べることは社会倫理にかなうことです。しかしながら、それがモラル・ハザードを招いているとしますと、支援活動が、反対に社会倫理の崩壊を助長していることになります。それでは、この問題、どのように対応したらよいのでしょうか。

 まず、行政が為すべき事とは、派遣村に集まってきた人々を対象に、聞き取り調査かアンケート調査を実施し、その実態を正確に把握すべきと思うのです。例えば、氏名、年齢、性別、職を失った経緯(派遣の解約?)、出身地、両親や親族の住所、技能や資格、今後の方針・・・といった項目が、質問の内容となります。こうした質問に対する回答を得ることで、行政側は、具体的な失業対策を立てることができますし、同時に、不正受給を防止することができます。また、データの分析結果を国民に公表することで、支援策への理解を得ることもできます。基礎データなくして、派遣村の問題を解決することは無理なのです。

 今日の事態は、行政側の杜撰な対応が生んだ、起こるべくして起こったモラル・ハザードと言えそうです。このままでは、元派遣社員とホームレスとの境界線も曖昧になり、給付金目当てで派遣村に集まる人も現れ、一種の”ばらまき”政策で終わってしまいます。税金の無駄遣いを削減するためにも、派遣村の人々の調査・分析を行うことで、将来の問題解決に繋げるべきと思うのです。

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南京と広島の相互訪問の非相互性

2010年01月07日 15時39分21秒 | アジア
首相が南京へ・胡主席は広島へ…中国が打診(読売新聞) - goo ニュース
 中国政府は、日中両国の国民感情の改善を目的に、鳩山首相の南京訪問と胡主席の広島訪問による相互訪問案を提案したと報じられています。しかしながら、この相互訪問には、相互性そのものが欠如していると思うのです。

 中国側の意図するところは、日本国の首相に”南京虐殺記念館”を訪問させ、”異論のある南京大虐殺”を歴史的”事実”と認めさせるとともに、謝罪をさせることで、中国国民の対日感情を和らげるということのようです。確かに、中国側の要求を丸呑みすれば、中国国内の対日感情は改善されることでしょう。しかしながら、中国の胡主席が広島を訪問したところで(原爆の犠牲者に対する慰霊?)、来日中国人による犯罪の増加、毒入り餃子事件、長野の聖火リレーでの在日中国人の動員などで悪化している日本国民の対中感情が緩和されるとは到底考えられません。それどころか、戦時における南京虐殺を言いたてながら、平時におけるチベット人やウイグル人に対する非人道的な扱いや虐殺を認めようとしない中国に対して、非難が強まることも予測されます。

 結局、この相互訪問は中国側を利するだけであり、この日中間の非相互性は、日本国内における日中両政府に対する不満を高めそうです。また、広島への原爆投下国がアメリカであることを考えますと、この相互訪問は、日米、および、米中関係にも波紋を投げかけるのではないかと思うのです。

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子ども手当―地方選挙や住民投票で賛否を

2010年01月06日 13時16分49秒 | 日本政治
神奈川、子ども手当「満額支給」 知事ボイコット撤回(共同通信) - goo ニュース
 国民からの支持が必ずしも高いわけではない子ども手当。政府は、子ども手当の支給に必要な財源の一部を地方に肩代わりさせる方針のようですが、地方分権を主張するならば、地方ごとに、地方選挙の争点としたり、住民投票を実施して、賛否を問うてはどうかと思うのです。

 子ども手当の実態とは、定額の”若年年金制度”ですので、本格的にこの制度を導入するとなりますと、老齢年金制度と同様に、負担の問題は避けて通れません(受け取った給付金は、成人後に税金として納め、他の子どもの給付金となる・・・)。政府は、給付面ばかりを強調していますが、全額税負担となるこの制度は、増税なくして存続不可能なのです。この負担面を考慮しますと、政府は、正直に負担と制度について国民に詳しく説明すべき立場にあり、子ども手当は、本来は、国民投票にかけるべき事案です。しかしながら、国レベルでの国民投票制度がない以上、地方においてこそ、当事者である国民に選択を任せてもよいのではないかと思うのです。高福祉高負担を選択するか、低福祉低負担を選択するかは、地方が判断することになります(ただし、成人後の地方から首都圏などへの人口移動により、地方の間で負担にばらつきが・・・)。

 都道府県の中には、既にボイコットを表明する知事もおられるようですが、子ども手当について、地方を舞台に徹底的に議論することで地方の政治が活性化する可能性もあります。地方負担分の範囲ではありますが、政府が、マニフェストを盾に有無を言わさずに実施するよりも、遥かに意義があるのではないでしょうか。

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EUとの刑事共助協定の問題点

2010年01月05日 15時44分52秒 | ヨーロッパ
 本日の新聞記事によりますと、最近、日本国政府とEUとの間で調印された刑事共助協定に、「共助を要請した国で死刑の可能性がある犯罪については捜査協力を拒否できる」とする規定が盛り込まれているそうです(日経新聞朝刊)。公安委員会から異論も出てきているそうですが、この協定には、幾つかの問題点がありそうです。

(1)不平等条約
 捜査協力の拒否権は、死刑制度を廃止したEU側だけが実質的に持つことになりますから、当事国間の権利の平等という観点からは、不平等条約と言えそうです。特に、EU諸国出身者が日本国内で死刑相当の事件を起こした時に、この不平等性が際立つことになります。しかも、もし今後、EUが、他の死刑制度を存続させている諸国と同様の協定を締結するに際して、この規定を設けないとしますと、日本国だけを不平等に扱ったことにもなります。

(2)凶悪犯罪者のEUへの逃亡
 もし、EUが、死刑に相当する凶悪犯罪者に対する捜査に協力しないとなりますと、死刑判決を恐れた犯人は、EU諸国に逃亡する可能性が高くなります。いわば、EUが、凶悪犯罪者に対してアサイレム(避難所)を提供することになりかねません。 

(3)恣意的な捜査拒否の可能性
 この協定は、犯人引き渡しではなく、犯罪者の捜査協力に関するものですので、対象となる犯罪者は、死刑判決を受けるか否か分からない容疑者に過ぎません。この段階で捜査を拒否できるとなりますと、EU諸国の刑事当局の恣意的な判断が働く可能性があります(死刑の怖れを理由に捜査拒否ができる・・・)。

 死刑制度については、日本国では、利己的で身勝手な動機から尊い命を奪うことの罪を重く見て、死を以って罪を贖うことを許してきました。この考えが、道徳に照らして間違っているとは言い切れず、日本国の国会では、これらの点を考慮して、条約の修正を視野に入れた議論を行うべきと思うのです。

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日本の二の舞の回避策は健全財政の維持では

2010年01月04日 15時54分52秒 | アメリカ
「失われた10年、二の舞を避けよ」 米紙が積極策提言(朝日新聞) - goo ニュース
 ニューヨーク・タイムスは、バブル崩壊後の日本経済を引き合いに出して、アメリカの景気回復には、積極的な景気対策、つまり財政拡大政策を必要とする、との見解を示したようです。しかしながら、日本国の「失われた10年」とは、巨額の景気対策を実施したにも拘わらず、財政赤字だけが積み上がり、景気が浮上しなかったことにあるのではないでしょうか。

 米紙の記事にでは、「失われた十年」の原因として、不良債権の処理の失敗、景気回復に先立つ消費税増税、景気刺激策の停止などを挙げています。しかしながら、実際には、当時の日本国政府は、不良債権を抱えていた金融機関に対して多額の公的資金を投入し、現在では、不良債権の処理と公的資金の返済は終了しつつあります(この措置があったからこそ、邦銀は、リーマン・ショック以降の金融危機に耐えられた?)。また、消費税増税の景気冷却効果は、景気の動向に拘わらず、一般的な現象とも言えます。さらに、国と地方を合わせて1000兆円にも上る現在の日本国政府の財政赤字は、景気対策の名の下で、見境のない財政出動が継続されてきた証しでもあります。

 もし、アメリカが、日本国の「失われた10年」から何かを学ぶとしたら、それは、決して、無意味な財政拡大ではないはずです。しかも、預金率の低いアメリカの場合には、国債の消化は海外依存となり、中国の保有が増えるとすれば、対中関係の弱腰を招くかもしれなせん(最近、中国政府は、米国債の保有を減らしているとも報じられていますが・・・)。財政拡大策と弱腰の対中政策の組み合わせは、双子の赤字を悪化させる可能性もあります。アメリカ政府は、中国に対して元高圧力をかけたり、対抗措置を講じるなど、貿易上の競争条件の公平化を図ることで、経済の不均衡を是正するほうが得策なのではないかと思うのです。

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新年のご挨拶

2010年01月01日 09時30分10秒 | 社会
 あけまして、おめでとうございます。このひととせも、皆様方が、お健やかに過ごされますよう、心よりお祈り申し上げております。

 のきはより 雪とけむすふ 玉水の ひかりこぼるる 山里の春 

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